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個人が主役のM&A「サーチファンド」とは?

M&A初級編

2023.12.01更新日:2023.12.01

サーチファンドは、新しいM&Aの形として近年注目を集めている仕組みです。今回はサーチファンドの基礎情報を知りたいという方に向け、サーチファンドの概要や一般的なM&Aとの違い、サーチファンドが持つメリットやデメリットを紹介します。

目次

サーチファンドとは?

サーチファンドとは、経営者を目指す個人と、事業継承者を探す企業とを結ぶシステムで、個人版M&Aファンド(合併・買収に必要なファンド)のようなものです。一般的なM&Aファンドは、「運用会社」が投資家から集めた資金をもとに、M&A投資を行います。一方、サーチファンドは、「個人」が主役で、経営者を目指す個人が魅力的な企業を探します。

企業を探す個人を「サーチャー」と呼びますが、サーチ活動の末に有望な企業が見つかったら、サーチャーは投資家を相手にプレゼンを実施します。「このプレゼンは投資する価値がある!」と将来性が認められ、M&A資金が無事に調達できれば、サーチャーは経営者となります。

企業側にとっては、事業継承の問題が解消でき、個人にとっては自身にフィットする企業の経営者になれるメリットがあります。サーチファンドは未公開株式に投資する「プライベートエクイティファンド」のひとつであり、企業の成長や再生支援を通して企業価値を高めるシステムといえます。

サーチファンドとM&Aファンドの違い

サーチファンドとM&Aファンドの違いを知る前に、M&AとM&Aファンドの違いを軽くおさらいしましょう。

M&AとM&Aファンドとは

M&Aとは、企業の買収や合併のことです。売り手企業は、M&Aを通して事業の再生や事業後継者の問題解決を図ります。買い手企業にとっては、他企業を買収・吸収することで事業拡大やシナジー効果を狙えるのが目的です。一方、M&Aファンドは、M&Aによって投資先企業の再生や成長支援を行ない、企業価値を高める投資スタイルのことです。投資先企業の価値が高まれば、転売や上場を通して投資利益を得られるのが特徴です。

従来のM&Aファンドとサーチファンドの違い

両者の大きな違いは、買取りたい企業のサーチ活動の有無です。従来のM&Aファンドでは、実績のある企業が投資家に支援してもらい、複数の企業を相手にM&Aファンドを行ないます。一方、サーチファンドでは魅力的な企業を探す「サーチ活動」を行なうのが特徴です。

このとき、サーチャーは投資家に対し当面のサーチ活動資金を支援してもらいます。つまり魅力的な企業を探し出すことを条件に、初期投資をお願いしている状況です。有望な企業が見つかれば、投資家へのプレゼンを通じてさらなる支援を受け、晴れてサーチャーから経営者となります。

また、資金調達の仕組みにも大きな違いがあります。従来のM&Aファンドでは、買収資金のみを支援してもらうシステムです。対するサーチファンドでは、サーチ資金と買収資金という2種類の資金を支援してもらえます。

サーチファンドのメリット・デメリット

サーチファンドのメリット・デメリットをまとめました。それぞれ(1)売り手側(企業オーナー)(2)買い手側(サーチャー)(3)投資家の3つの立場から見たメリットを紹介します。

(1)企業オーナーから見たメリット

自社に合った次期経営者が選べる
サーチファンドでは、企業オーナーが買い手側の能力や人柄をじっくり見極めながら事業継承を判断できます。企業の売買は大きな決断。相手が企業ではなく個人となると、事業継承の判断を慎重に下したいと考える方は多いはずです。そんな企業オーナーには、サーチファンドのスタイルが適しているといえます。
事業の後継者問題が解消できる
後継者不在による廃業は、企業オーナーや社員にとって大きなダメージです。サーチファンドは、こうした事態を防ぐのに重宝します。自社の事業や企業文化に適した人材へ事業を継承でき、企業価値はもちろん従業員を守ることにもつながるのです。
会社の独立性を維持できる
「事業継承はしたいが、社名が変わるのに抵抗がある」「これまで築いてきた実績や企業文化を維持し続けたい」と考える企業オーナーは多いものです。サーチファンドであれば会社そのものは消滅せず、独立性を維持したまま事業を継承できます。吸収・合併によって社員が混乱することもないため、スムーズに再スタートを切れるのも魅力です。

レコフは創業1987年の老舗!
36年以上の実績を持つM&A仲介会社の草分け的存在

レコフはM&Aをはじめ事業継承サポート、業界再編などに特化した企業です。日本のM&A草創期である1987年の創業以来、国内外における大小さまざまな規模の、数多くのM&A、事業継承サポートを実行してきました。日本の上場企業は3,500余社を数えますが、創業以来その9割を超える企業と接触。未上場企業を加えると、これまでに関わってきた企業は20,000社を超えます。こうした実績と企業とのネットワークが新たなM&Aのマッチングにも活かされます。

(2)サーチャーから見たメリット

自分で企業選びができる
企業オーナーが自社に合った人材を経営者へ据えられるように、サーチャー自身が自分に合った企業選びを行なえるのも魅力です。サーチファンドにおいて、サーチャーは「この会社に魅力があるか」「自分の手でこの会社を成長させられるか」という点をじっくり判断できます。したがって、自身によりフィットする経営先を探し当てられるのです。
M&Aにチャレンジしやすい
サーチャー側から見ると、サーチファンドは挑戦の敷居がやや低めです。実績の浅いサーチャーであっても、最低限のサーチ資金を得ることでM&Aへ挑戦できます。実績や経験のハンデがあり、M&A挑戦のチャンスに恵まれない個人にとっては大きな恩恵だといえるでしょう。

(3)投資家から見たメリット

投資リスクが低い
サーチファンド初期では、最小限のサーチ資金を支援するだけで投資が成立します。投資家にとっては、比較的低いリスクで有望な企業や人材へアプローチできるチャンスが用意されているのです。

(4)企業オーナー・サーチャーに共通するデメリット

サーチファンドのデメリットは、サーチャーの能力に依存してしまう側面が大きいという点にあります。企業オーナーからすれば、新しい事業後継者(サーチャー)の能力は重要な要素です。能力や人柄が不透明だと、事業後継をためらってしまうもの。企業オーナーは、後継者候補(サーチャー)の能力を見極めなければなりませんが、その能力を確かめる選択肢が乏しいため、その不確かさが裏目に出るリスクも抱えています。

一方、サーチャーにとっては、通常業務と同時にサーチファンドの作業をこなさねばならない負担があります。また、サーチャーは投資家から買収資金を得るため、自身の能力や企業の将来性を証明する必要があります。経験の浅いサーチャーにとっては、プレゼンがひとつの関門になるでしょう。

サーチファンドが注目される理由

サーチファンドが注目を集めている背景には、「後継者の不在率が高い」「経営者志望の後押し」の2つの要素があります。以下に、それぞれの要素を解説しました。

後継者の不在率が高い

中小企業の大きな課題が、後継者不在率の高さです。帝国データバンクの調査によると、全国・全業種の中小企業(26万6000社)の約65.1%は後継者不在と報告されています。約17万社が、後継者不在に悩まされているのです。将来的な廃業を予定している60歳以上の経営者は全体の50%以上、そのうち3割にあたる数が「後継者不在」を理由に廃業を検討していることもわかっています。将来、経営者を志望するサーチャーを支援するサーチファンドは、後継者不在を解消する手段として注目を集めています。

レコフは後継者問題の解決と
企業オーナーさまの「ハッピーリタイアメント」を実現!

高度経済成長期に創業した企業の経営者の高齢化は進んでおり、国内企業の社長の平均年齢は59.5歳と、60歳以上の方が半数を占めています。また、オーナー企業へのアンケートでは、社長が60歳以上の企業において51.5%が「後継者がいない」と回答しています。年間4万件に及ぶ休廃業や倒産する企業の中でも、これらの後継者不在などを背景とした廃業・倒産を余儀なくされる中小企業は、増加の一途をたどっています。後継者がいない場合は、早い段階で事業承継M&Aを検討されることをおすすめします。レコフは、企業の後継者問題を解決し、オーナーさま引退後の人生をエンジョイしていただく「ハッピーリタイアメント」を実現します。

経営者志望の後押し

サーチファンドは、すでにビジネスモデルが確立している企業を買取るシステム。最短ルートで経営者を目指せるうえ、ゼロから起業する方法に比べるとリスクを抑えて挑戦できるのも魅力です。

サーチファンドの歴史について

サーチファンドが生まれたのは、1984年のアメリカ。当時のスタンフォードビジネススクールの教授が考案したスタイルです。「起業したいが具体的なアイデアやノウハウがない」と学生から相談されたのをきっかけに、最低限の資金でM&A成立を目指すビジネススタイルを考案したのが始まりでした。それから11年後の1995年から活発になりはじめ、現在ではアメリカをはじめとした各国に広がりをみせています。

サーチファンドは、経営者志望の個人と事業後継者を探す企業をつなぐひとつの手段。従来のM&Aファンドとの違いを把握して、より自社に合ったシステムを選ぶことが大切です。

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