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月刊事業承継M&Aレポート
2017年6月のM&A件数は222件であり前年同月比0.9%増であった。マーケット別ではIN-INが148件、前年同月比6.5%増、IN-OUTは60件、前年同月比4.8%減、OUT-INは14件、前年同月比22.2%減となった。このうち公表された事業承継M&Aは21件(注参照)であり、8件は製造業に係わるケースであった。
動物用医薬品国内最大手の共立製薬(東京都)は、同業の田村製薬(同)を買収した。社長等から数億円で60%の株式を取得した。2017年中に残り40%を追加取得し、完全子会社化する見込み。同社は1954年創業、売上高9億円、従業員45人。鶏・豚などの動物用治療薬・飼料添加物・消毒薬などの製造販売を行ってきた。また、大手メーカーの人体用医薬品の製造を受託し、越生工場(埼玉県越生町)などの製造設備下で安定高品質の医薬品を製造してきた実績を有する。共立製薬は国内外の動物薬市場に向けて幅広いラインアップを安定高品質・低コストで供給できる体制を構築する。売上高750億円を目指す。
水環境事業のプラント建設・機器製造などを手掛ける月島機械は、金属製品製造業、機械器具設置工事業の三進工業(神奈川県川崎市)を買収する。代表取締役等11人から56億円で全株式を取得する。同社は売上高70億1700万円、従業員172人。圧力容器、熱交換器などの多種にわたるプラント機器類の製作、建設工事や補修工事を一貫して担う。近年では、都市ゴミ用焼却プラントの建設、補修工事分野で安定した業績を残している。月島機械は各種プラントの建設、補修工事能力を向上させる。単体機器製造体制を補完する。相互の人材・技術交流で競争力の強化を目指す。
圧力計測器メーカーの長野計器は、圧力標準機製造販売の双葉測器製作所(東京都)を買収する。代表取締役等2人から約2億2200万円で全株式を取得する。同社は売上高約8700万円。重錘形圧力天びん、液中型圧力計などの圧力標準器の製造販売を主要事業とする。デジタル圧力計、機械圧力計のJCSS校正事業も行っている。双葉測器の気体用重錘形圧力天びんは長野計器の製品に対し優位性がある。長野計器は国内の重錘形圧力天びん(圧力標準器)製造の地位を確固たるものとする。製品ラインアップの充実とグループの販売ネットワークによる拡販を見込む。
経済産業省が2017年6月に公表した2017年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)には、製造業によるM&Aの目的に関するアンケート調査の結果が含まれている。これによると主要な目的は事業規模拡大による競争力強化であったが、この他では「既存組織内では対応が難しい能力等の獲得」と回答した割合が約3分の1を占めた。勿論、上記に挙げた例がこれに該当するとは限らないが、幅広いラインアップの供給体制構築や人材・技術交流で競争力の強化などを目指すと伝えられており、「組織の活性化」が目的の一つになっている様子が窺える。
(注)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる IN-IN : 日本企業同士のM&A IN-OUT: 日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A OUT-IN: 外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A (注)ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。 ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。 (注)公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。
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