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月刊事業承継M&Aレポート
2017年9月のM&A件数は234件であり前年同月比20.6%増であった。マーケット別ではIN-INが173件、前年同月比35.2%増、一方、IN-OUTは47件、前年同月比9.6%減、またOUT-INは14件、前年同月と同水準となった。このうち公表ベースの事業承継M&Aは37件(注参照)であり、事業領域・周辺領域拡大を目的としたM&Aが目立った。
物流大手のセンコーグループホールディングスは、フィットネスクラブ運営のブルーアース(甲府市)、Beフィットネス(笛吹市)、ブルーアースジャパン(甲府市)の3社を買収した。社長からそれぞれ全株式を取得した。ブルーアースは山梨県内を中心に東京都や静岡県で自治体からの運営受託も含め計14施設を運営し、約1万人の会員を有する。有料老人ホームなどの運営も行う。センコーグループHDは2016年10月にけいはんなヘルパーステーション(奈良市)を買収し、介護分野へ本格参入した。フィットネス分野へ進出する。ライフサポート事業を強化する。
また、冠婚葬祭業大手のサン・ライフは、8月に全額出資で設立したペットセレモニーウェイビー(神奈川県平塚市)を通じて、ペット葬の「ペットセレモニーWAVY」(同県中井町)の事業を譲り受ける。サン・ライフは需要の高まっているペット葬事業をグループ事業に加えることで多様化する顧客ニーズに応える。同事業を通じ新たな顧客創出を図る。
家電量販店のラオックスは、婦人靴企画卸のオギツ(東京)、オギツグループの持株会社である恒和総業(同)の2社を買収する。それぞれ個人、従業員持ち株会から19.84%、100%の株式を取得する。オギツへの出資比率は議決権ベースで95%となる。2社はそれぞれ売上高80億5500万円、5900万円。オギツは「ing(イング)」「Pitti(ピッティ)」などのオリジナルブランドのほか、有名ブランドのライセンスを多数有する。ラオックスは2015年に同業のモード・エ・ジャコモを買収するなどし、メイドインジャパンの魅力的な商品構成の拡充を図ってきた。商品構成の充実を図る。既存の同業種事業との製造、販売面での相乗効果と効率化に繋げる。
しばしば「経営資源の選択と集中」という言葉を耳にするが、事業領域・周辺領域を拡大することで事業リスクの分散を図っていくことも重要な選択肢に思われる。消費者ニーズの多様化やサービス・商品のライフサイクルが短期化していると言われる中で、同様のM&Aを通じて事業構成の拡大を目指す動きは今後も増加するものと考えられる。(注)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる IN-IN : 日本企業同士のM&A IN-OUT: 日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A OUT-IN: 外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。 ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。 公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。
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