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2017年12月の事業承継M&Aマーケット概況 ~専門商社のM&A~

月刊事業承継M&Aレポート

2018.02.01

2017年12月公表のM&A件数は342件であり、前年同月比34.1%増であった。マーケット別ではIN-INが260件、前年同月比49.4%増、IN-OUTは64件、前年同月比4.5%減、また、OUT-INは18件と、前年同月比28.6%増となった。このうち公表ベースの事業承継M&Aは43件(注ご参照)あり、6件が専門商社によるM&Aだった。

 

住宅資材販売のキムラは、ガラス工事業、建具工事業の東洋ガラス工業(北海道石狩市)を買収する。社長等2人から全株式を取得する。同社は1972年設立、売上高15億4400万円。アルミサッシなどのガラス工事、建具工事の専門業者として加工技術と施工のノウハウを有し、強固な顧客基盤を持つ。キムラは外注している各種施工をグループ一体で対応することで顧客へのサービスの幅の拡大とスピードアップを図る。ホームセンターでのリフォーム事業でも相互に補完し合う。

建材・住宅設備機器卸売のOCHIホールディングスは、傘下で建材卸の越智産業(福岡県福岡市)を通じて、同業の丸滝(長野県駒ヶ根市)を買収する。社長等19人から全株式を取得する。同社は売上高12億5300万円。3拠点で建材・住宅設備機器の卸売、建築工事の請負を行なっている。特に、内装工事を中心とした建築分野で高いノウハウ、技術力を蓄積し、地元で確固たる地位を築いている。OCHIホールディングスは丸滝を中核として甲信越地区での事業展開を図る。人材交流での技術、ノウハウの蓄積などを通して、事業ポートフォリオの拡充、グループシナジーを追及する。

電子機器や製造装置等販売のダイトロンは、各種産業用ケーブルハーネス設計製作の谷本電装(広島県広島市)を買収した。創業者から全株式を取得した。同社は社名を「ダイトテック」に変更し、本社を大阪市に置いた。谷本電装は産業用ケーブルハーネスの設計から製造まで一貫した生産体制による高品質な製品を強みとする。ダイトロンはグループの中国・四国地区での生産拠点として、オリジナル製品のラインナップ強化と顧客サービスの強化を図る。

 

 さて、2017年公表ベースの事業承継M&A件数は290件であった。過去最多の295件を記録した2016年に比べると微減にはなったものの、2014年の235件、2015年の262件を大きく上回っており引き続き高水準だ。中小企業庁によると今後10年の間に127万社が後継者未定の状況になるという。今後も事業承継M&Aは活発に行われていくであろう。

 

(注)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる

   IN-IN : 日本企業同士のM&A

   IN-OUT: 日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A

   OUT-IN: 外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A

   ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。

   ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。

   公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む

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