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月刊事業承継M&Aレポート
2018年3月公表のM&A件数は325件であり、前年同月比23.6%増であった。マーケット別ではIN-INが236件、前年同月比22.9%増、IN-OUTは63件、前年同月比10.5%増、また、OUT-INは26件で、前年同月比85.7%増となった。このうち公表ベースの事業承継M&Aは26件(注参照)あり、経営者や創業者とともに投資会社が株主となっている企業を対象としたM&Aが3件あった。
ワキタは、建設機械、農業機械部品販売の東日興産(東京都)を買収する(発表は2月26日)。東京海上キャピタル(同)が管理・運営するTMCAP2011投資事業有限責任組合(同)と社長から80%の株式を取得する。東日興産は売上高71億4100万円。5000超の納入先と取引実績を有する。ワキタグループは土木・建設機械、荷役運搬機械などの販売、賃貸を主力事業としている。事業の拡大を図る。農業機械などの販売事業への新規参入を検討しており、建設機械部品に関する海外仕入れルートの拡大などのシナジー効果を見込む。同組合は2014年に東日興産を買収していた。
極東貿易は、プラント向け機器販売のプラント・メンテナンス(東京都)を買収する。アント・キャピタル・パートナーズ(同)が運営するアント・ブリッジ4号A投資事業有限責任組合(同)と社長等3人から9億7000万円で全株式を取得する。プラント・メンテナンスは売上高16億5600万円。輸出商社の位置づけで、新興国の石油化学プラントから製鉄、発電プラントまで部品・機器などのハードウェアの調達から点検・修理、テクニカルサポートまで一元的に提供する。極東貿易は新興国での事業拡大に弾みをつける。アント・キャピタル・パートナーズは2016年にプラント・メンテナンスを買収した。
日東精工は、精密プレス金型、精密プレス部品製造、販売の伸和精工(長野県)を買収する。中国のCITICキャピタル・パートナーズが運営し、英ケイマン諸島に所在するCITIC Japan Partners, L.P.など2ファンドと、創業者から約5億5000万円で全株式を取得する。伸和精工は売上高約35億9000万円。ステンレス、アルミ、銅系、鉄、ニッケル素材品に広く対応し、日本、中国を中心としたエレクトロニクス、自動車業界向けに安定した顧客基盤を有する。日東精工は技術の融合による新しい技術開発によりグループの事業領域の拡大を見込む。CITICキャピタル・パートナーズは2008年に伸和精工を買収していた。
「2018年2月の事業承継M&Aマーケット概況」では、投資会社が買い手となる事業承継M&Aの件数が増加していると述べた。3月も投資会社は前述した売り手3件だけではなく買い手という立場でも2件登場している。投資会社が事業承継M&A市場の一役を担い始めていると言えそうである。
(注)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる IN-IN : 日本企業同士のM&A IN-OUT: 日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A OUT-IN: 外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。 ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。 公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む
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