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2020年2月の事業承継M&Aマーケット概況 ~サーチファンド案件の登場〜

月刊事業承継M&Aレポート

2020.03.19

 2020年2月公表のM&A件数は327件であり前年同月比9.2%の減少となった。マーケット別ではIN-INが253件で前年同月比4.5%減、IN-OUTは64件で前年同月比9.9%減、そしてOUT-INは10件で前年同月比58.3%減であった。このうち公表ベースの事業承継M&Aは49件(注1参照)であり、この中には次のようなケースが含まれている。

 渡邊謙次氏は、土木工事業の塩見組(福岡県北九州市)を買収した。全株式を取得した。代表取締役に就いた。同社は1955年設立、従業員42人。西日本エリアを中心に大型基礎杭打ち工事や海上改修工事などを手掛ける。後継者が不在だった。渡邊氏は2019年5月に山口フィナンシャルグループの傘下の山口銀行(山口県下関市)、もみじ銀行(広島市)、北九州銀行(福岡県北九州市)が出資し、山口キャピタル(山口市)とJapan Search Fund Accelerator(東京)が共同運営するYMFG Searchファンド投資事業有限責任組合の出資を受け、サーチャー(若手経営者候補)として活動を開始した。渡邊氏は山口フィナンシャルグループが2018年12月に開催した「第1回Search Party」で塩見組と面談して以来、同社のポテンシャルと将来性に魅力を感じ、約1年に亘って面談を継続してきた。

 若手経営者候補と企業経営者が、互いの能力及びパーソナリティーや雰囲気などを見極めて事業の承継を目指す枠組をサーチファンドという。後継者問題を解決する仕組みの一つとして注目され始めており各地で研究会等が立ち上がっているという。

 
(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A

ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。


 

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