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月刊事業承継M&Aレポート
2020年7月公表のM&A件数は305件で、前年同月比10.8%の減少となった。マーケット別ではIN-INが247件で前年同月比1.6%減、IN-OUTが45件、同38.4%減、OUT-INが13件で同27.8%減だった。依然としてクロスボーダー案件においては新型コロナの影響が大きいようだ。同月の公表ベースの事業承継M&Aは59件(注1参照)であり、この中で建設関連の企業を対象とするケースが9件あり、うち2件は上場建材商社のOCHIホールディングス(福岡県)による買収発表であった。
OCHIホールディングスは、内装工事業のアイエムテック(広島市)を7月9日付で買収する。個人から自己株式を除く全株式を12億〜13億円で取得する。同社は2000年設立、売上高13億4200万円。主としてマンションやオフィスビルなどの内装工事を行っている。OCHIホールディングスは住宅需要の変化に影響を受けにくい企業体質の確立に向けて、建材事業・加工事業以外の非住建分野の事業ポートフォリオの拡大などを掲げている。中国地区での事業拡大を図る。建材事業や加工事業と連携させ、グループシナジーを追及する。
また、同社(OCHIホールディングス)は、建設業、水処理事業などの長豊建設(長野県飯田市)を7月16日付で買収する。個人から全株式を取得する。長豊建設は1967年設立、売上高16億5000万円。主として公共事業の土木工事業を行っている。OCHIホールディングスは中部地区での事業拡大を図る。
総務省「労働力調査」によると、2019年の全産業ベースの就業者のうち55歳以上が30.5%であったのに対して、建設業では35.3%であり就業者の高齢化進捗のレベルは高い。熟練者による建設技能の伝承が容易ではなくなりつつあるとの声もあり、また、新型コロナの影響により多少は緩和されたものの人手不足は依然として厳しい状況にある。一般的に、中堅・中小建設会社が大手・有力企業の傘下に入るケースは、経営者の高齢化の他、労働力確保も動機の一つである場合が少なくないと推察される。
(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる IN-IN:日本企業同士のM&A IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。 ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。 公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。
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