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2020年10月の事業承継M&Aマーケット概況 ~町工場を支援するセイワ工業(三重県)〜

月刊事業承継M&Aレポート

2020.12.01

 2020年10月公表のM&A件数は336件で前年同月比5.6%の減少となった。マーケット別ではIN-INが260件で前年同月比1.6%増、一方、IN-OUTは49件、同35.5%減、また、OUT-INは27件で前年同月比12.5%増であった。同月の公表ベースの事業承継M&Aは52件(注1参照)であった。

 溶接加工のセイワ工業(三重県)は、ブロー成形機メーカーのブレンズ(千葉県)を買収した。全株式を取得した。同社は1982年設立。プラスチック部品加工機であるブロー成形機の製造を始め、ブロー成形に関係する付属装置、付帯設備をオーダーメードで設計・製作している。日本初の電動機ブロー成形機の開発を行うなど、ブロー成形機に関する開発力、提案力に強みを持つ。後継者が不在だった。買収によって機械加工、マシニング加工、溶接と一気通貫の素材加工が可能になる。

 セイワ工業は2019年から事業承継による町工場の支援を続けてきた。今後も事業継承問題などを抱える中小企業の事業継続を支援しつつ、自社の事業規模拡大などを図る意向と伝えられている。


 さて、2020年1〜10月の事業承継M&A件数は累計で503件となり、前年同期の490件を上回った。新型コロナ発生に伴い4月、5月は大きく減少したが、その後、回復の傾向にあり、2020年も2019年と同様に高い水準で終わりそうである。

 

(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A

ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。

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