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月刊事業承継M&Aレポート
2021年7月公表のM&A件数は345件となり前年同月比で13.1%増加した。マーケット別にみると、IN-INは272件、前年同月比10.1%増、IN-OUTは46件、同2.2%増、また、OUT-INは27件、同107.7%増であり、いずれのマーケットも増加した。このうち事業承継M&A(注1参照)は52件、前年同月比11.9%減であり、この中で物流業界に関連するM&Aが4件あった。
東証2部上場で飲料・食品の自動販売機の設置及び商品供給を行っているアシードホールディングス(広島県)は、納品代行・納品前作業代行・輸送業務・海外輸出入業務のロジックイノベーション(岡山県)を買収した。社長から全株式を取得した。同社は2013年設立、売上高1億7400万円。倉庫を活用した物流のアウトソーシング・物流代行、食品廃棄物・廃プラ・木くずなどのリサイクル事業を運営している。アシードHDは全国のアシードグループのネットワークを活用しながら、より付加価値の高い物流サービスシステムを構築する。
大型トラックによる長距離輸送の富士運輸(奈良県)は、精密機械や医薬品の中長距離配送を手がける北陸トランスポート(富山県)を買収した。全株式を取得した。同社は従業員25人。後継者が不在だった。富士運輸は2020年に富山県に初拠点を新設した。同県での事業拡大を図る。共通の主要取引先を有することから、2つのブランドでの営業活動を行う予定。
また、富士運輸は原乳、タイヤ、肥料、雑貨、医薬品など中長距離配送の日向商運(宮崎県)も買収した。全株式を取得した。同社は従業員37人。後継者が不在だった。富士運輸は宮崎県に初拠点を新設する。九州全域を網羅したことになる。宮崎県への長距離運送での復路の空車回送などを解決する。日向商運が手がける海上コンテナや原乳の運送はグループにとって初領域であり、事業拡大につなげる。
労働集約型産業の物流業界では、運転者や倉庫内などでの作業員の不足が深刻化している。2024年4月から原則として運転業務の時間外労働を年960時間とする上限規制が適用される予定であり、人手不足が一層深刻になるとの見方もある。最近では人手不足に対応していくため物流DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉もきかれるようになった。物流業界におけるM&AはIT強化を目的とするものなど多様化していきそうだ。
(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる IN-IN:日本企業同士のM&A IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。 ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。 公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。
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