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2022年9月の事業承継M&Aマーケット概況 ~不動産業界におけるM&Aの事例〜

月刊事業承継M&Aレポート

2022.10.24

 2022年9月のM&A件数は397件で、前年同月比11.5%増加となった。マーケット別ではIN-INが290件で前年同月比10.3%増、IN-OUTは68件、同28.3%増、一方、OUT-IN は39件、同2.5%減であった。同月の事業承継M&A(注2参照)は61件、前年同月比6.2%減であり、このうち不動産会社に関わるM&Aが4件あった。


 三栄建築設計は、賃貸管理業の太陽ビルデイング(東京都)を買収した。個人から全株式を取得した。同社は1962年設立、売上高2億6900万円。子会社に宇伸恒産(同)を持つ。東京都中央区銀座にビルをそれぞれ1棟所有する。三栄建築設計の所有するビルの隣地に所在している。三栄建築設計は将来各ビルを一体の不動産として再開発する。

 大東建託は、不動産投資、コンサルティング事業のライジング・フォース(東京都)を買収する。個人2人から全株式を取得する。同社は2016年設立。大口不動産投資家をはじめとする法人顧客を取引先として10億~20億円程度の収益不動産(マンションやオフィスビルなど)の売買仲介事業を行っている。第二種金融商品取引業者として、不動産信託受益権の売買仲介事業も手掛ける。大東建託は不動産信託受益権仲介・不動産特定共同事業への進出、買取リノベ再販事業の強化を図る。コアビジネスの強化に加え、相互に新しいビジネスを開発、展開していく。

 財務省法人企業統計によると全国の不動産会社の数は35万社を上回っており、過剰と言われている美容室の25万やコンビニ店舗数の6万、調剤薬局の6万などを大きく上回る。ただ、中には地域に密着することで地元の情報を入手し、不動産仲介を軸にサービスを手掛ける小規模な不動産会社も多いと考えられ、数だけをみて過剰と考えるのは早計と思われる。

 一方、足元、地域によっては再開発が進展したことによりオフィスの供給が需要を上回ってきたと指摘されている。

 また、1990年代に年間約160万であった新設住宅着工戸数はここ数年は80万台に減少。将来的にはさらに半減するとの調査結果も発表されている。

 最近ではインターネットで不動産関連のサービスを提供する会社も増加している。

 中長期的に人口が減少に向かい、不動産会社間で顧客を取り合う動きがより厳しいものなれば、経営基盤の強化や業務効率の向上、また、事業領域の拡大などを目的にM&Aを活用して行こうとする機運は、一層高まっていくであろう。



(注1)文中数値は概数
(注2)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる IN-IN:日本企業同士のM&A IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。 ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。 公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。

 

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