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月刊事業承継M&Aレポート
2022年11月のM&A件数は319件で、前年同月比6.2%の減少となった。マーケット別ではIN-INが236件、前年同月比7.5%減、一方、IN-OUTは59件、同5.4%増、また、OUT-IN は24件、同17.2%減であった。同月の事業承継M&A(注1参照)は43件で前年同月(60件)に比べて28.3%減少した。この中でサービス業に関連するM&Aが12件あり、うち「東進ハイスクール」など学習塾及び予備校を運営するナガセが買い手となるM&Aが2件あった。
ナガセは学習塾経営のヒューマレッジ(大阪府)を2023年1月上旬に買収する。代表取締役等2人から全株式を取得する。同社は1989年設立、売上高27億5,500万円。兵庫、大阪北摂地区を中心に「木村塾」ブランドで34校舎(生徒数9,000人)を展開している。2012年から東進衛星予備校に加盟し、フランチャイジーとして11校舎を展開する。ナガセはヒューマレッジの学力層への指導に関する知見やノウハウを全国ネットワークに融合、活用する。小・中学生部門、高校生部門双方で生徒層の裾野を拡大し、全国ネットワークの成長につなげる。
また、受験学習指導などを展開するティエラコム(兵庫県)への出資比率を2023年1月上旬に10.28%から29.35%に高める。社長等2人から株式を取得する。同社は1976年設立、売上高80億8,200万円。西日本を中心に小中高一貫の教育ネットワークを持つ。小中高生対象に全78拠点を構え、2003年から「東進衛星予備校」のフランチャイジーとして49拠点を展開している。GE事業(合宿教育・宿泊研修・留学・教育旅行)、ASP事業(塾経営支援システムソフトの開発提供)も手掛ける。ナガセは小中高一貫教育指導の深化、多様な事業展開の推進など、双方のブランド力、顧客満足度を高める。
文部科学省「学校基本調査」によると2010年に約1,390万人であった小・中・高等学校の生徒数合計は、2022年には約1,230万人に減少している。講師のクオリティー、指導方法やオンライン対応、また、これらを可能にする組織体制など受講生及び保護者の学習塾に対するニーズは厳しくなりつつあると思われ、学習塾間での生徒の獲得競争は激しさを増していると推察される。
こうした事業環境下、レコフM&Aデータベース((株)レコフデータ提供)によると「学習塾・専門学校」に関わるM&A件数は増加しており、2022年は11月末現在で55件となり年間では既に過去最多となった。2022年、日本の出生数は統計集計以来はじめて80万人を下回りそうだ。今後、さらなる少子化が見込まれる中で、学習塾が生徒及び講師の獲得競争を乗り切っていくためには経営基盤の一層の強化が肝要と思われ、これに向けたM&Aは今後も活発に行われると考えられる。
(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A
ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。
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