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月刊事業承継M&Aレポート
2023年1月のM&A件数は303件で、前年同月比7.3%の減少となった。マーケット別ではIN-INが233件で前年同月比9.7%減、IN-OUTは39件、同23.5%減、一方、OUT-IN は31件で同72.2%増だった。同月の事業承継M&A(注1参照)は54件で前年同月(69件)に比べて16.9%減少した。このうち介護関連の企業に関わるM&Aが4件あった。
東証プライム上場で障害者の就労支援を行っているLITALICOは、デイサービスのnCS(東京都)を買収する。代表取締役がほかの株主から株式を取得したうえで、同代表取締役から8億5,000万円で全株式を取得する。同社は2009年設立、売上高約18億3,400万円。機能訓練特化型のデイサービスとして「リハビリデイサービスnagomi」など114店舗、訪問入浴介護事業として2事業所を運営している。LITALICOはグループの施設運営ノウハウを活かし、デイサービス事業の出店拡大とサービス充実を図る。介護領域でのインターネットプラットフォームサービスの充実化・品質向上を実現し、高付加価値のプロダクトとして介護業界全体に提供する。
東証グロース市場上場で老人ホームなどを運営しているリビングプラットフォームは、全額出資子会社のリビングプラットフォームケア(LPFC、札幌市)を通じて、介護事業者の橙果舎(札幌市)を買収する。代表取締役等2人から全株式を取得する。同社は2007年設立、売上高約2億700万円。高齢者グループホーム「グループホームこもれびの家」(北海道恵庭市)、共同住宅「あんずの家」(札幌市)など3施設を運営している。リビングプラットフォームの介護事業では恵庭市は初出店地域となる。ドミナント戦略の強化など北海道内でのシェア拡大につなげる。
全国訪問看護事業協会によると、2014年から2021年の間に訪問看護を行う看護師等が所属する「訪問看護ステーション」の数は概数で7,400から13,000に増加。また、厚生労働省によると、同じ期間、有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅を含む)の数は9,600から16,700に増加している。
高齢化が進展する中、介護施設の増加は社会的なニーズに合致していると思われる。一方、これに伴い介護事業者間の競争は激化していると伝えられている。介護事業の運営には規模拡大でコストを削減することが肝要と述べる経営者の声もあり、介護関連の企業にとって今後もM&Aは事業を強化する重要な選択肢の一つになると考えられる。
(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A
ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。
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