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月刊事業承継M&Aレポート
2月のM&A件数は280件で前年同月比20.9%減となった。マーケット別にはIN-INが220件で前年同月比21.1%減、IN-OUTは40件、同16.7%減、OUT-IN は20件、同25.9%減であった。同月の事業承継M&A(注1参照)は54件で前年同月(63件)に比べて14.3%減少した。54件の中で建設業界(工事を含む)を売り手とするM&Aが7件あり、このうち5件は異業種・異業態の企業がサービス拡充などを目的に工事会社の買収を発表したケースであった。
ここでは東証プライム市場上場で、浄化槽製造大手のダイキアクシスが発表した2件のM&Aについて触れてみたい。
同社は空調設備工事のアドアシステム(広島県)を買収する。代表取締役から全株式を取得する。アドアシステムは2001年設立、売上高17億5,700万円。山陽地方を中心に空調分野で豊富な施工実績を有する。
また、ダイキアクシスは、電気工事業などのメデア(埼玉県)を買収する。社長から全株式を取得する。同社は1975年設立、売上高14億1,300万円。太陽光発電設備の設計・施工・維持管理を主とした電気工事業、自社保有太陽光発電所での売電事業を主要事業とする。
ダイキアクシスによるとアドアシステムの買収により、取引先ネットワーク・商圏の拡大、グループの他事業とあわせた一体的なサービスの提供など、多くのシナジーが得られるという。
また、メデアの買収により、大口電力需要家からの要望に対して迅速に対応出来る体制を構築するとともに、グループの技術力・購買力を高める意向だ。
買い手側にとってはサービス・メニューの拡充、また、売り手側にとってはビジネス・チャンスの拡大につながる可能性があり、他にも同様のM&Aは散見されている(図表1参照)。
人手不足の深刻化や資材価格の上昇などにより工事会社の事業環境は厳しさを増している。今後も同様のM&Aは広がっていくと思われる。
(図表1)最近の異業種・異業態による工事会社の買収
(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A
ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。
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