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月刊事業承継M&Aレポート
3月のM&A件数は345件で前年同月比23.7%減となった。マーケット別ではIN-INが256件で前年同月比29.5%減、一方、IN-OUTは62件、同24.0%増、また、OUT-INは27件、同30.8%減であった。同月の事業承継M&A(注1参照)は50件で前年同月(87件)に比べて42.5%減少した。このうち地方銀行投資専門子会社が買い手となったケースが2件あった。
めぶきフィナンシャルグループ傘下の足利銀行(栃木県)が出資し、同行の全額出資子会社のウイング・キャピタル・パートナーズが運営するWing1号事業再構築投資事業有限責任組合は、土木建築資材販売のミライヘHDの傘下の栃木砿業(栃木県)役員と共同で、ミライヘHDを買収した。栃木砿業は売上高33億円。ミライヘHDは関東近郊および東北地方で事業を展開し、豊富な取扱商品と機動力を強みとする。同組合の事業承継支援を目的とした株式取得の第1号案件となる。
山口フィナンシャルグループ傘下の山口銀行(山口県)が出資し、山口キャピタルが運営する地域未来共創Searchファンド投資事業有限責任組合は、経営者候補(サーチャー)である唐澤宏誌氏と共同で、農薬・資材製造などの三笠産業(山口県)に投資した。株式を取得した。佐伯社長は会長に就き、唐澤氏が社長に就いた。同社は1949年創業、従業員約250人。微粉砕加工技術の応用領域としてリサイクルトナー製造、食品加工事業へと事業領域を拡大してきた。事業承継を検討していた。
法改正によって、銀行の投資専門子会社が子会社化の可能な範囲に、いわゆる事業承継会社が追加されたのは2019年のことであり、2021年には投資期間が5年から10年に延長された。密度の高い地域ネットワークを有する地方銀行に対する期待は大きく、実際、投資専門子会社を設立する地方銀行は増加している。貸出競争の激化や金利上昇などによる運用リスクの高まりに直面する地方銀行にとっても、収入源の拡大は重要な課題と考えられる。今後の事業承継M&A市場における地方銀行投資専門子会社の動きが注目される。
(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A
ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。
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