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月刊事業承継M&Aレポート
5月のM&A件数は325件で前年同月比8.2%減となった。マーケット別ではIN-INが236件で前年同月比11.3%減、一方、IN-OUTは65件、同18.2%増、また、OUT-INは24件、同27.3%減であった。同月の事業承継M&A(注1参照)は44件で前年同月(58件)に比べて24.1%減少。この中で製造業買い手の事業承継M&Aが13件あった。
ねじ等金属製品製造のヤマシナ(東証スタンダード上場)は、半導体商社のヤマヤエレクトロニクス(東京都)を買収する。社長から70%の株式を取得する。同社は2017年設立、売上高22億6,100万円。世界各国の主要都市に有する協力会社と連携し、半導体・電子部品各種製品を国内企業へ供給している。ヤマシナは半導体事業をセグメントに加える。グループの様々な製品について販路拡張などの事業シナジーを見込む。
エンジンバルブ・メーカーのフジオーゼックス(東証スタンダード上場)は、金属製品製造業のマルヨシ製作所(静岡県)を買収する。代表取締役等2人から全株式を取得する。同社は1990年設立、売上高3億6,800万円。セパレータフィルム製造用の金属ロール、シャフトなどの製造を手掛ける。セパレータフィルム製造装置メーカーなどに製品を提供している。フジオーゼックスはグループシナジーの創出による事業拡大を見込む。
パソコン及びデジタル機器関連製品製造・販売のエレコム(東証プライム上場)は、理美容家電製品・調理家電製品・健康器具企画・開発のテスコム電機(東京都)の親会社であるティーエスシー(同)を買収する。代表取締役等から99億2,000万円で全株式を取得する。同社は1976年設立、売上高100億5,800万円。ヘアドライヤーやヘアアイロンなど美容家電製品の主要プレーヤーとして市場での認知を確立している。ホットプレートやミキサーなどの調理家電の領域でも市場でのシェア・認知を擁する。エレコムは新規事業のテーマとして掲げている「家電」領域を垂直に立ち上げるための企画・設計・製造・品質管理のノウハウを獲得する。
こうしてみると、現在の事業と一定程度関連する事業を手掛ける企業を買収することによって、事業領域を拡大しつつ両社のシナジーを見込むケースが少なくない。勿論、1980~90年のバブル期に数多くの多角化が失敗したことに鑑みれば、事業拡大には慎重な検討が必要であろう。しかし、コロナやウクライナ危機など想定外のリスクが発生したこともあって、事業の「選択と集中」よりも「選択と分散」を図るべきとの見方もあり、自社事業の隣接分野などを対象とするM&Aは今後も積極的に行われるであろう。
(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A
ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。
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