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2023年6月の事業承継M&Aマーケット概況 ~M&Aの方針等を会社ホームページに掲示している上場企業の例~

月刊事業承継M&Aレポート

2023.07.28

 6月のM&A件数は303件で前年同月比9.6%減となった。マーケット別ではIN-INが225件で前年同月比13.5%減、IN-OUTは52件、同1.9%減、一方、OUT-INは26件、同18.2%増であった。同月の事業承継M&A(注1参照)は44件で前年同月(61件)に比べて27.9%減少した。この中でソフトウェアテストを事業とし東証プライムに上場するSHIFTが2件の買収を公表している。


 SHIFTは、孫会社でITソリューション事業のALH(東京都)を通じて、ソフトウェア受託開発のネットワークテクノス(福岡県)を買収する。代表取締役から2億1,000万円で全株式を取得する。同社は2007年設立、売上高4億2,200万円。大手SIerを中心に幅広い顧客と安定的な取引関係を構築している。ALHは福岡拠点の顧客基盤の強化に取り組む。


 また、SHIFTは、全額出資子会社でITソリューション事業などのバリストライドグループ(東京都)を通じて、医療系ソフトウェア開発、業務系ソリューション、物流系ソリューション提供のトラストブレイン(兵庫県)を買収する。代表取締役から3億7,000万円で全株式を取得する。同社は1993年設立、売上高4億7,200万円。医療業界に対する知見を有する。中途採用に課題を抱えている。SHIFTは医療業界への進出に取り組む。


 SHIFTは同社のホームページ上で自社のM&Aに関わる考え方などを掲示している。最近、同社以外にも三井松島ホールディングスやSYSホールディングス、また、エージェント・インシュアランス・グループといった上場企業が、ホームページ上でM&Aの方針などを掲示している。売り手側からみれば売却先の選択肢の拡大につながる可能性があり、こうした上場企業の増加は事業承継M&A活性化の観点からも期待されるところである。



(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる IN-IN:日本企業同士のM&A IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。 ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。 公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。

 

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