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月刊事業承継M&Aレポート
8月のM&A件数は335件で前年同月比、0.3%の増加となった。マーケット別ではIN-INが255件で前年同月比0.4%減、一方、IN-OUTは56件、同24.4%増、また、OUT-INは24件、同27.3%減であった。同月の事業承継M&A(注1参照)は60件で前年同月(48件)に比べて25.0%増加した。この中で海外事業の強化を一つの目的とするM&Aが2件あった。
住宅設備機器製造事業のASAHI EITOホールディングス(東証スタンダード上場)は、建築用内外装塗材類製造販売の山本窯業化工(大阪府)を買収した。代表取締役等3人から約1億5,700万円で全株式を取得した。同社は1961年設立、売上高約8億2,500万円。内外壁装材等、建築仕上塗材の開発・製造・販売を行う。ASAHI EITOは事業上のネットワークや営業資産である販売チャネルといった経営資源を相互に活用することで、販売拡充に協力する。ベトナムをはじめとしたアジア市場に進出し、国内市場へ安価で良質な製品の供給も視野に入れる。
投資会社のロングリーチグループ(東京都)は、LFP Holdings, L.P.を通じて、ストレッチ専門店運営のnobitel(同)を買収した。社長等から株式を取得したほか、転換権付優先株式を引き受け、過半数の株式を取得した。同社は1993年設立、従業員1,516人。「Dr.stretch」ブランドで1対1形式のアシステッドストレッチサービスを提供する。国内に加え、シンガポール、台湾、マレーシア、アラブ首長国連邦(UAE)の国外店舗と併せて200以上の店舗を展開している。ロングリーチは国内外での出店の加速、ITの活用など売上・収益性向上策を支援する。
M&A市場全体に目を向けると、2019年の826件をピークに減少に転じたIN-OUTが、2023年1~8月は425件、前年同期比8.1%増となり回復の兆しをみせている。世界情勢の不透明感が強い中で海外事業には様々なリスクが伴うが、中長期的には人口減少によって国内成長が鈍化していく可能性もあり、海外での成長機会を獲得するためのM&Aは今後も回復の方向に向かうのではないかと考えられる。
(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A
ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。
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