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2023年12月の事業承継M&Aマーケット概況 ~2023年の事業承継M&A件数は前年比減となったが過去2番目の高水準〜

月刊事業承継M&Aレポート

2024.01.23

 2023年12月のM&A件数は411件で、前年同月比16.8%の増加となった。マーケット別ではIN-INが311件で前年同月比16.5%増、IN-OUTは68件、同21.4%増、OUT-IN は32件で同10.3%増だった。同月の事業承継M&A(注1参照)は71件で前年同月(79件)に比べて10.1%減少した。

 事業承継M&Aの2023年1~12月累計件数は697件となり、2022年の749件から6.9%減少したが、年間件数では過去最多の2022年に次ぐ高水準であった。また同年、事業承継M&Aの金額(買収金額等の合計)は過去最大の約1兆8,400億円となった。ただし、これは主に、オーナー系の上場企業を対象とした数千億円規模の事業承継M&A(MBOによる非公開化など)が複数公表されたことによる。

 個別の事例をみていくと、経営者の高齢化に伴う後継者問題の解決や、老舗企業が売り手になるケースの他に、ベンチャー企業のオーナーが自社の株式を譲渡する例が増加している。


 また、2023年の事業承継M&Aでは投資会社買い手の件数の割合が11.3%を占めた。

 
 2023年12月もベンチャー企業対象の事業承継M&A、また、投資会社買い手の事業承継M&Aがぞれぞれ5件ずつ公表されている。

 
 今年は物流業界や建設業界などで「2024年問題」と言われる長時間労働の規制が施行される年である。こうした業界に限らず人手不足が深刻化していることもあり、景気や企業業績の底割れが発生しなければ2024年の事業承継M&A市場は活発な状況が続くであろう。


(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
       IN-IN:日本企業同士のM&A
       IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
       OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A

ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。

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