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月刊事業承継M&Aレポート
2024年2月の件数は371件で、前年同月比32.5%の増加となった。マーケット別ではIN-INが292件で前年同月比32.7%増、IN-OUTは50件、同25.0%増、OUT-IN は29件、同45.0%増と全てのマーケットで増加した。同月の事業承継M&A(注1参照)は65件で、前年同月(56件)比20.4%の増加となった。
オリックスが大型の事業承継M&Aを発表した。同社は外航・内航船舶貸渡業の三徳船舶(大阪市)を3月中をめどに買収する。創業者一族から全株式を取得する。金額総額は約3,000億円と伝えられている。同社は1972年設立、売上高617億円、従業員75人。鉄鉱石や穀物などの輸送を行うばら積み船をはじめ、自動車船、コンテナ船など多種にわたる船舶を67隻保有し、国内外の大手資源会社や穀物会社などへ貸し出しを行う。今後、包括的な船舶運航管理を自社で行う。次世代環境対応船を含め保有船種を多角化する。オリックスはグループの国内外の営業ネットワークや企業経営ノウハウ、強固な財務基盤などを生かし、三徳船舶と共に収益性向上と事業成長を図る。
オリックスは2022年にも大型の事業承継M&Aを発表。化粧品・健康食品メーカーのディーエイチシー(未上場、東京都)の全株式を、吉田嘉明会長兼社長等から約3,000億円で取得している(完了は2023年)。
また、2024年2月、調剤・ドラッグストア大手のスギホールディングスが、大手調剤薬局運営のI&H(未上場、兵庫県)を買収すると発表した。金額は不明だが社長等から61.89%の株式を取得する。同社は2019年設立、売上高約2,233億300万円。調剤事業を中心として、介護・福祉、ヘルスケア、医師開業コンサルティング、認定栄養ケアステーションに至る多彩な事業を展開している。スギHDは事業連携によるノウハウの相互提供に基づく事業の質向上、事業規模の拡大による事業推進力の強化を図る。薬局専門性の深耕、生産性の高い訪問調剤業務の確立、調剤DX化の推進などに取り組む。
勿論、大型の事業承継M&Aが増加するかどうか見通しをたてることは困難だ。ただ、財務省法人企業統計により日本企業1社あたりの純資産を試算し、これまでの推移をみると増加傾向にある(図表1参照)。これをみると、日本企業を対象とするM&Aは、より大型化しても不思議ではないように思われる。
(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A
ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。
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