2024年6月の事業承継M&Aマーケット概況 ～上半期は半期過去最多に〜

　6月の件数は335件で、前年同月比10.2%の増加となった。マーケット別ではIN-INが246件で前年同月比8.8%増、IN-OUTは60件、同15.4%増、OUT-IN は29件で同11.5%増だった。同月の事業承継M&A（注1参照）は71件であり､前年同月（46件）に比べて54.3%増加した｡

　6月は買収金額100億円を上回る案件が1件公表された。サイバーエージェント（東証プライム上場）は、ゲーム企画・開発・販売などのニトロプラス（東京都）を買収する。個人4人から167億400万円で72.5%の株式を取得する。代表取締役は留任する。同社は2000年設立、売上高40億300万円。「刀剣乱舞」をはじめゲーム・アニメ・小説・イラストなど幅広いジャンルでコンテンツ制作を手掛ける。サイバーエージェントはニトロプラスがIPビジネスの強化、画期的なコンテンツ制作に取り組み、事業拡大を目指していけるよう支援する。

　2024年上半期（1～6月）の事業承継M&Aの件数は467件で、前年同期（321件）比45.5%増となり半期ベース（上半期または下半期）では過去最多となった。これまで最多だったのは2022年上半期の405件である。これに比べると今上半期の467件は大幅な更新となり、通年でも過去最多になる可能性は高いと考えられる。

（注1）M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
       IN-IN：日本企業同士のM&A
       IN-OUT：日本企業が当事者1（買い手）、外国企業が当事者2（売り手）となるM&A
       OUT-IN：外国企業が当事者1（買い手）、日本企業が当事者2（売り手）となるM&A

ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件（オーナー系企業売却案件）」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。