2024年9月の事業承継M&Aマーケット概況 ～1,000億円規模の事業承継M&A〜

　9月のM&A件数は359件で、前年同月比22.1%の増加となった。マーケット別ではIN-INが284件で前年同月比29.7%増、OUT-IN が33件で同83.3%増、一方、IN-OUTは42件、同26.3%減となった。同月の事業承継M&A（注1参照）は56件であり､前年同月（57件）に比べて1.8%減少した｡

　大型案件と推察される事業承継M&Aが1件公表された。米投資ファンドのベインキャピタルは、中古バイク販売のレッドバロン（愛知県岡崎市）を傘下に持つレッドバロンプロパティーズ（愛知県岡崎市）を12月末日までに買収する。過半数の株式を取得する。一部報道では金額は1,000億円。創業家は引き続き株式を保有する。現経営陣は続投する。レッドバロンは1972年設立、売上高889億円、従業員2,482人。全国300店舗以上で国内外の新車・中古車の在庫を有し、整備工場を備える。ベインキャピタルは事業・経営基盤の強化を図る。中長期的な事業成長の実現と企業価値の最大化を支援する。

　今年の2月にはオリックスによる三徳船舶という3,000億円の事業承継M&Aが公表されている。

　数十年にわたる事業の継続によって資産が蓄積された未上場企業は少なくないと考えられ、今後も大型の事業承継M&Aは散見されると思われる。

（注1）M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
       IN-IN：日本企業同士のM&A
       IN-OUT：日本企業が当事者1（買い手）、外国企業が当事者2（売り手）となるM&A
       OUT-IN：外国企業が当事者1（買い手）、日本企業が当事者2（売り手）となるM&A

ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件（オーナー系企業売却案件）」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。