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月刊事業承継M&Aレポート
10月の件数は420件で前年同月比20.0%の増加となった。マーケット別ではIN-INが337件で前年同月比19.5%増、IN-OUTは59件で同22.9%増、OUT-IN は24件で同20.0%増だった。同月の事業承継M&A(注1参照)は89件であり、前年同月(53件)比67.9%という大幅増となり月間の件数としては過去2番目の水準となった。技術力向上を主要な目的としたケースがみられた。
精工技研(東証スタンダード上場)は、射出成形品メーカーのエムジー(宮城県利府町)を買収する。個人1人から全株式を取得する。同社は1970年設立、売上高約23億4,100万円。宮城県内と山形県に計3カ所の工場を有する。自動インサート多重成形、加飾成形、薄肉成形、超ハイサイクル成形など、射出成形に関わる高度で多様な技術を獲得し、自動車や文具、医療等の市場に向けてプラスチック成形品やプラスチックマグネット成形品を供給している。精工技研は幅広い射出成形技術と自動成形技術を獲得する。成形品供給ビジネスの拡大を実現する。
次世代カーボンナノチューブ研究開発、製造販売のカーボンフライ(東京都)は、真空装置など開発のバキュームプロダクツ(VP、東京都小平市)を買収した。会長から株式を取得した。同社は1986年創業。カーボンフライは高性能カーボンナノチューブ製造装置「Caltema」5t級の開発に成功。主要サプライヤーであるVPとの業務提携を進め、資本提携を含めた業務の一体化と量産化の促進を模索してきた。「Caltema」の顧客からの導入ニーズに応える量産体制を整える。100t級の大型製造装置の開発にも着手する。
テセック(東証スタンダード上場)は、半導体測定器開発、製造、販売の嶺光音電機(横浜市)を12月末に買収する。社長等から全株式を取得する。同社は1954年設立、売上高4億7800万円。動特性試験技術を強みとする。パワー半導体測定で知見と実績を有する。テセックは嶺光音電機製品との組み合わせによるテストシステムの販売や研究開発業務の委託など、パワー半導体測定分野で協業してきた。両社が有する技術とノウハウを一体的に共有・統合する。包括的で迅速なソリューション提供が可能となる。
日本の中堅・中小の製造業にはオリジナリティーの高い数々の技術が蓄積されていると言われている。上記の例は、M&Aが技術伝承の手立ての一つになり得ることを示唆している。
(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A
ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。
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