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2024年11月の事業承継M&Aマーケット概況 ~病院によるM&A〜

月刊事業承継M&Aレポート

2024.12.18

 11月の件数は396件で前年同月比10.6%の増加となった。マーケット別ではIN-INが302件で前年同月比11.9%増、IN-OUTは63件で前年同月比同件数、OUT-IN は31件で同24.0%増だった。同月の事業承継M&A(注1参照)は77件であり、前年同月(73件)比5.5%増となった。この中には病院に関わるケースが2件あった。


 病院、クリニック運営の医療法人Carus(秋田県)は、精神科病院「うしぶか心愛病院」運営の医療法人木下会(熊本県)を買収した。持ち分を取得した。同社は1969年設立。外来診療、デイケア、訪問介護に対応し、120床を有する病棟では入院患者の受け入れを行っている。後継者が不在だった。医療法人Carusは後継者不足に課題を持つ医療法人の支援を行う。


 クリニック、病院運営の一般財団法人SAITO MEDICAL GROUP(東京都)は、病院、介護医療院運営の医療法人社団菅病院(岡山県)を買収した。持ち分を取得した。同社は1970年設立、従業員108人。一般病棟32床、介護医療院27床で透析治療や救急医療の受け入れを行っている。後継者が不在だった。一般財団法人SAITO MEDICAL GROUPは従業員1800人。地域医療のモデルケースとなるような病院づくりを目指す。


 厚生労働省「医療施設調査」によると1999年に9,286であった病院数は、2022年には8,156に減少。同調査をもとに試算したところ、この中で50床未満の病院の減少率は34.5%であった。


 規模の小さい病院は家族経営が多い中で、地域間での偏在が大きい医師の確保が容易ではないことや、安全、労務、データ等の管理の負担が重いことなどにより、経営維持が難しくなり易い点が指摘されている。


 一方で、病院が地域社会に果たす役割に鑑みその存続を望む声は大きく、今後もM&Aは存続の一助になると期待されている。


(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
       IN-IN:日本企業同士のM&A
       IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
       OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A

ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。

 

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