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2025年3月の事業承継M&Aマーケット概況 ~不動産賃貸会社を巡るM&A〜

月刊事業承継M&Aレポート

2025.04.21

 3月の件数は436件で、前年同月比3.3%の減少となった。マーケット別はIN-INが347件で前年同月比5.2%減、IN-OUTは54件、同11.5%減、一方、OUT-IN は35件で同45.8%増だった。同月の事業承継M&A(注1参照)は87件、前年同月(91件)比4.4%の減少となった。この中に不動産賃貸を展開している企業を対象とするM&Aが2件あった。

 東証グロース上場のアーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)は、不動産業のトルネードジャパン(大阪府)を買収した。代表取締役から5,500万円で51%の株式を取得した。同社は2008年設立、売上高約1億6,800万円。賃貸不動産物件を2棟保有し、不動産賃貸事業を行う。関連会社との協業により、大手不動産会社からの受注・協業の形態で不動産開発プロジェクトを手掛けてきた。マンション開発などで実績とノウハウ、幅広いネットワークを持つ。ASJはトルネードを介して全国を対象に住宅開発、コマーシャル関連施設の開発に対して「プロジェクト受注」の形態で設計業務を受託する。新たなビジネスモデルを構築し「住まい関連事業」の収益構造改革を行う。


 東証スタンダード上場のキムラタンは、不動産賃貸業の九建機材(福岡県)を買収した。代表取締役から1億5,900万円で全株式を取得。同社は1989年設立、売上高1,200万円。福岡県南部に15棟の賃貸用戸建住宅を所有し、高い入居率を安定的に維持している。キムラタンは不動産特定共同事業を不動産ビジネスの新たな柱として位置づける。賃貸事業、再販事業、不動産特定共同事業、マッチングプラットフォーム事業の4つのバランス最適化を図りながら、各社が有する物件仕入やリノベーションのノウハウをグループ全体で共有する。


 2020年国勢調査によれば単身世帯の約64%が賃貸住宅(民営・公営)に居住。今後、単身世帯は増える見込みであり、賃貸住宅の需要は増加していくと思われる。これまでも持ち家志向は低下しており、賃貸物件の数は増加傾向という。


 ただ、総務省「住宅・土地統計調査」によると賃貸における空き家の数も増加しており、借主における物件の選別色が強まっている様子が窺える。人口減少とともに選別色が強まれば、不動産賃貸業界における企業間競争は激化すると考えられ、経営基盤の強化などを目的としたM&Aは増加する可能性がある。


(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
       IN-IN:日本企業同士のM&A
       IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
       OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A

ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。

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