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月刊事業承継M&Aレポート
8月のM&A件数は345件で、前年同月比13.8%の減少となった。マーケット別ではIN-INが283件で前年同月比13.5%減、IN-OUTは34件、同22.7%減、OUT-IN は28件、同3.4%減であった。同月の事業承継M&A(注1参照)は75件、前年同月(60件)比25.0%の増加となった。
ドラッグストア・調剤薬局に関連するM&Aが活発だ。
マツキヨココカラ&カンパニーは、全額出資で設立した中間持株会社のアンドカンパニー(東京都)を通じて、ドラッグストア事業、調剤薬局事業の新生堂薬局(福岡県)を買収する。社長等から全株式を取得する。同社は1979年創業、子会社との合計売上高287億3,100万円。九州北部を中心に119店舗を展開している。マツキヨココカラ&カンパニーは九州北部エリアでのグループシェアの拡大、顧客利便性向上を図る。
スギホールディングスは、ドラッグストア、調剤薬局運営のセキ薬品(埼玉県宮代町)を買収する。まず、9月30日付で会長、社長などから161億3,300万円で34.8%の株式を取得する。持分法適用会社とする。ほかの株主からも取得し、出資比率は49%となる見込み。5年後をめどに51%に高める。セキ薬品は1984年設立、売上高1,005億300万円。埼玉県を中心に北関東エリアなどで計300店舗以上展開している。両社はともに「調剤併設型ドラッグストア」を強みとする。事業の質向上と事業規模の拡大を通じて事業推進力を強化し、ドラッグストア業界での競争優位性を高める。
事業承継M&Aの他にも、調剤薬局トップのアインホールディングスが、調剤薬局「さくら薬局」を展開するクラフト(東京都)の株式100%を間接保有する持株会社のNSSK-WWを買収した。投資ファンドの日本産業推進機構(NSSK)が運営する英領ケイマン諸島のNSSK Sakura Target L.P.などから、全株式を取得した。NSSK-WWは売上高1,536億300万円。クラフトは1982年創業。首都圏や関西圏、東海地方など人口集積エリアを中心に約800店舗を有する。アインHDは店舗網の拡充を図る。
また、今年7月、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(東京都)は、米国とシンガポールに拠点を置く同業のLYFEキャピタルと共同で、調剤薬局第2位の日本調剤を買収すると発表。日本調剤は投資ファンドと共同で、安定した財務基盤の確保、デジタル化・DX推進への投資、人材の確保・育成、新規事業領域への展開に向けて、戦略・施策を進める意向だ。
2025~2026年にはドラッグストア大手のツルハホールディングスが、イオン子会社のドラッグストア大手、ウエルシアホールディングスを買収し、ツルハホールディングスもイオンの子会社になる予定だ。
ただ現状、ドラッグストアや調剤薬局業界は再編が進んではいるものの、まだ寡占度は低いと言われており、今後もM&Aは活発に行われると予想する声が多い。
(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A
ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。
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