2025年10月の事業承継M&Aマーケット概況 ～事業承継M&Aと経営支援専門の企業によるM&A〜

　10月の件数は474件で､前年同月比55件､13.1%の増加となった｡マーケット別ではIN-INが401件で前年同月比19.3%増、一方、IN-OUTは49件、同16.9%減、OUT-INは24件で前年同月と同件数だった（表1参照）。同月の事業承継M&A（注1参照）は102件､前年同月（91件）比12.1%の増加となった。

　事業承継型投資のSoFun(滋賀県)は、セラミックス製造・加工、セラミックス製品卸のアルミックス(愛知県)を買収した。同社は1984年設立。短納期・小ロット対応を強みにファインセラミックスの製造を手がける。後継者が不在だった。SoFunは株式を永続保有し、オーナー経営者に寄り添いながらチーム型経営で成長支援を行う。

　中小型IT事業の共創型M&Aとロールアップを行う投資会社のFUNDiT(東京都)は、設立したWebthor(同)を通じて、インターネット広告代理業、インターネットメディアコンテンツ事業のウェブソア(同)から事業の全てを譲り受ける。同社の代表取締役はWebthorの代表取締役に就く。ウェブソアは2014年設立。総合的なインターネット広告代理事業を強みとし、戦略的なクリエイティブと多角的な視点で課題解決を支援してきた。FUNDiTは保有する多数のIT事業とWebthorが持つ広告運用ノウハウや顧客基盤との間シナジーを見込む。グループ全体の広告事業を強化する。

　エレクトロニクス分野に特化した事業承継型M&Aのミッドホールディングス(岩手県)は、電子部品(無線モジュール)設計・製造・販売のモノワイヤレス(神奈川県)を買収した。全株式を取得した。同社は2015年設立。IoT/無線通信技術に強みを持つ。産業用IoT分野で実績のある無線通信モジュール「TWELITE(トワイライト)」シリーズの開発・販売を手掛ける。後継者が不在だった。ミッドHDはIoT/無線通信領域での競争力強化を図る。

（注1）M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
       IN-IN：日本企業同士のM&A
       IN-OUT：日本企業が当事者1（買い手）、外国企業が当事者2（売り手）となるM&A
       OUT-IN：外国企業が当事者1（買い手）、日本企業が当事者2（売り手）となるM&A

ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件（オーナー系企業売却案件）」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。