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創業以来、常に地域貢献を意識。焼却、水処理、破砕施設を主軸に、一般・産業廃棄物および特別産業廃棄物の処理を通じて、「人と自然にやさしい100%循環型の社会」づくりに邁進してきた株式会社日昇つくば。着実に成長を果たしながら、業界内でも知られる存在となった同社が、なぜM&Aを決意することになったのか。どうして、そのパートナーとしてレコフを選んだのか。創業者である塚田純夫様と、譲受側の株式会社ATホールディングスの代表取締役グループCEO堀切勇真様にこれまでの経緯と現在、そして未来について伺った。
株式会社日昇つくば
取締役会長
塚田 純夫
18歳から消防庁に務めたのち、1986年に一般産業廃棄物および特別産業廃棄物の処理を行う日昇つくばを創業しました。そこから売上15億円を超える企業に成長させ、2021年11月にATホールディングスに譲渡後、日昇つくば取締役会長に就任されました。
塚田(譲渡企業)
社会人のスタートは公務員です。頭を使うよりも身体を使う方が合っていると思ったので、消防士を志望。公務員試験に合格後、生まれ育ったつくばを離れ、18歳で上京しました。伯父、伯母が公務員だったことも影響していると思います。渋谷の消防学校を卒業後、消防署長の秘書や救急救命の業務などを経験して、13年後、公務員を辞して、つくばに戻ってきました。そして、33歳になって100万の中古トラックを購入。環境関係の小さな会社を始めることにしました。もちろん、家族には反対され、自分も不安はありました。しかし、私が尊敬する松下幸之助先生の著書には「好きなことをやっていてもダメ」「嫌なことに挑戦することで、自分の成長を促す」とありました。私は常々、成長したいと考えていたので、苦手なことややったこともないことに挑戦しようと思いました。経営にあたって必要な税務を含めた関連国家資格を毎年一つ以上取得する事を心掛けました。
会社を立ち上げたばかりのころ、霞ヶ浦の浄化の問題が持ち上がり、湖を綺麗にするための分析業務を担当したことがきっかけで、水処理に興味を持ち始めました。環境問題に対してとくに情熱があったということではありませんが、仕事に対してプロ意識を持っていたら自然にそこにたどり着きました。もちろん、地域に対する貢献意識もありました。結果は追うものではなく作るものです。その事業をきっかけに、現在の日昇つくばを立ち上げます。
やはり地域を主人公としなければ、事業を継続することはできません。
塚田(譲渡企業)
気遣いですね。あくまで会社であって、一人の力で発展させることは難しいでしょう。いかに地域の事情やニーズに合わせるかが重要です。また、たとえお金や時間があってもその経営者としての品格がなければいけません。お金も心もどちらも裕福にならなければなりませんが、そこにたどり着くまでのマニュアルはありませんよね。今、私は若い人たちに経営学を教育していますが、先輩方の話を聞くよりも後輩達からの方が得るものがたくさんあります。昔の良いものは継承したいと思いますが、個人的にはあまり良いものがないと感じています。歴史に変化があるのは当たり前なので、人間は年齢問わず死ぬまで勉強だと思います。そういった意識を持っていることが、経営者として生き残っていける重要なポイントだと思っています。
塚田(譲渡企業)
2年前にガンを患ったのがきっかけとなりました。当時の役員たちでは力不足で、会社を守ってはいけないと感じ、何らかの手を打たなければならない、そう思ったときに、M&Aの仲介会社から届くダイレクトメールが気になるようになりました。いくつかの仲介会社からお声がかかり、実際にお会いしたこともありました。その中からレコフを選んだのは、担当者の熱意を感じたからです。彼は不器用な人間ではありますが、私はそういう人が好きです。
一流の社長は冗談が上手い人が多いので、私もそれに倣って、M&Aの話を持ってくる担当者に対して、いつも冗談を言って試していました。その冗談に流されるだけの人もいましたが、レコフの担当者は私の冗談に乗っかりつつ、締めるべきところはきちんと締めていました。そこでレコフなら臨機応変に対応をしてくれるだろうと感じました。
個人的な感覚ですが、真面目すぎる人間は、一生懸命にやろうとして、スピードが遅くなるので、少し砕けた担当のほうが丁度いいですね。とくにM&Aはそうです。良い子ぶってバラ色の話を吹っ掛けられても時間のムダです。良い話かもしれませんが、実際に見るまでは分からないので、そこは相手の態度を見ながら判断していくべきだと思いました。
塚田(譲渡企業)
我々の業界は真面目すぎても、反対に不真面目すぎてもいけません。柔軟性の高い経営者でなければ、経営理念は継続できません。学歴があるからと言って出世するわけではありませんよね。経営もそうです。お勉強ができる頭の良さではなく、やはり相手を読んだり、上手に駆け引きができる人が良いと思っていました。
相手先には、今ある現実を受け止めて継承してもらいたいと考えていました。なので社員に不安を与えないこと、そのためにも今の会社の色をある程度継承してほしいという点を条件にしていました。何よりも社員たちのことを考えましたね。人間にも似た色があるので、同じような色の人に会社を譲るのが理想だと思いました。
堀切(譲受企業)
最初は冗談ばかりを言っていたので、正直、「なんだ、この人は!?」と思いましたね(笑)。そんな中でも、壮大な夢を語る時の真剣な表情と見え隠れするシャイな部分に魅力を感じました。年齢的にも大先輩で、これだけの会社を作ってこられた方ですが、人として親近感を覚えました。
塚田(譲渡企業)
本音を聞くための冗談ですからね(笑)。私も堀切さんの印象が良いと感じたので、もう迷いなく決断しました。即決に近いです。その前に何社かとお会いしていますが、それらの会社には興味が湧きませんでした。迷ったら悩んでしまって悔いが残るので、私はすぐに決断をするようにしています。迷ったら辞めるべきですね。
塚田(譲渡企業)
堀切社長の会社は、これから伸びる会社だと感じたことも判断材料のひとつです。一緒になるならば、これから伸びる会社がいいですよね。
堀切(譲受企業)
ご縁をいただいたのはレコフさんですが、最初は日昇つくばという会社については同じ関東でやられている、焼却場を持った良い会社という程度の認識しかありませんでした。実際にお会いさせていただいたときの会長の印象や、場内がきちんと整理整頓されていることに好印象を持ちました。そして、社員の方たちの真面目さや丁寧さを肌で感じました。また、他の役員方も一人ひとりが誠実で、偉ぶる人が誰もいなかったところに企業風土を 感じました。
堀切(譲受企業)
何を大切にしているかが一番大事ですね。もちろん事業的な結びつきも重要ですが、社員の方へどのような教育をして会社として何を大事にしているのかが、M&Aにおける一番のポイントだと考えています。会長はあまり「社員のため」と口には出しませんが、いろいろと話を伺う中で、「会長はかなり社員の面倒を見ているな」ということがわかりました。社員との関係性や距離感を大事にしている部分は私も大事にしていますし、経営理念である「信頼・発展・醸成」の根本は誠実さです。それをとても感じましたし、私たちも大事にして今までやってきました。
例えば、業者選びひとつとっても、値段だけでは動きません。今までお世話になってきた経緯などを大事にする会社と、そうでない会社の2つがありますが、私たちは前者です。今までお世話になった方々がいての私たちですし、その考え方もお互い似ていると思いました。細かいジャッジひとつ取っても、あまりにズレがあると一緒に仕事をすることはできません。会長とは色々な意味で、経営者としての感覚の近さを感じました。
私たちは実際に、M&Aを締結するまでに交流がありましたが、そういうケースは珍しいみたいですね。お互いに最初からオープンな状態で進めていきました。ゴルフを一緒に楽しんだりもしましたが、後日談で聞いたところによると、この時にも私は試されていたようですね。伊香保にお招きしてゴルフを楽しみ、宿泊しましたが、そのときの私の人間性を見られていたみたいです。もちろん、そのときはテストされていたことは知りませんでしたが、「気遣い」というキーワードでテストをされていました。上に立つ人ほど気遣いが大事ということは、まさしく会長の言う通りです。
塚田(譲渡企業)
100点満点の人間はいないので、ある程度の合格点を設けていました。堀切社長を見ていて、“この人は100点を目指している”と感じられました。大手企業からM&Aの話もありましたが、お金の問題ではないのでそれはお断りしました。
堀切(譲受企業)
そうですね。レコフの担当者が良い潤滑剤になってくれて、3人でいることがとても楽しかったですね。良い雰囲気を作ってくれたので、私も会長と親交を深めることができました。
堀切(譲受企業)
確かにこれまで4件の実績がありますが、M&Aを目的として行ったことではなく、すべてご縁があった結果です。ご縁の中でも、無理な挑戦は今いる社員たちに迷惑をかけるだけなので、身の丈を少し超えるくらいのチャレンジにすることを大切にしています。せっかく頂いたご縁の中で、まずは今抱えている社員たちに迷惑をかけないかどうかを判断します。そして一緒になるのであれば、お互いが成長しなければ意味がありません。なので、まずは我々の手がしっかり行き届く範囲であることを確認し、社員やその家族も幸せにできる余力があるかどうかを考えます。そうしたときに日昇つくばさんは、今根付いている事業や文化もそうですし、今後一緒になる上での方向性についても、非常に近いものを塚田会長と語り合うことができたので、決断に至りました。このどれもが欠けてはいけないことだと思います。
堀切(譲受企業)
創業者ならではのリーダーシップで社員を引っ張ってこられた会長の後というのは、本来ならば難しいです。塚田会長と私で勝負するとなるととても難しいですよね。しかし私は塚田会長というカリスマ創業経営者に対して、みんなの力で勝っていこうと考えているので、考え方としてはとても楽になりますね。
成約前に会長以外の方と面談させていただき、一人ひとりに「新体制になることをどう思うか?」と質問をしました。リーダー職以上の方全員とお話ししましたが、全員が口を揃えて「塚田会長が決めたことならば何も不安はない」と答えました。社員の方とそこまでの関係性を築いてこられた会社だということで、私も「それならばやれる!」とホッとしましたね。会長も社員の方に「これから成長していく会社だから安心だ」と伝えてくれていて、私がやりやすいように整えてくれました。
塚田(譲渡企業)
堀切社長は自分の子どもと同じくらいの年齢なので、“自分の子供だったらどうするか”と考え、親として動きやすくしてあげたという感覚です。
堀切(譲受企業)
大変、ありがたいお話です。今回のM&Aにおいて、やはり塚田会長だからこそ順調に進めることができたと感じている点が2つあります。まずひとつめは、「お金ではない」ということを体現してくれたことです。私たちよりも、大きな金額を提示している企業がある中で、それを捨てられる経営者もあまりいないと思います。そしてふたつ目に、自分自身を殺して「次の社長は若くて優秀だから着いていって安心だ」と場を整えてくれたことです。自分が作った会社でそれをするのはとても難しいはずですが、会長が整えてくれたのはとても大きかったです。
塚田(譲渡企業)
結果的にタイミングがとても良かったと思います。成約までは、主にゴルフや会食をしていて、細かい話はあまり進めていませんでしたが、昨年10月に「11月に成約しましょう」と言う話になりました。それを聞いたときは“あと1カ月しかない”と少し驚きましたが、時間が経つにつれ気になることや悩みも出てくると思うので、経営者の人間性だけにフォーカスして、スピーディに判断できたのは良かったと思います。
塚田(譲渡企業)
これから地域や若い人のためにやりたいことがたくさんあるので、経営を離れることで新たに生み出せた時間をそこにつぎ込んでいきたいですね。仕事も遊びも趣味も、すべて一流でありたいです。私にとって地域貢献は“思い”ですね。1人では生きていけないので、これから地域に恩返しをしていきたいと思っています。
ガンの治療に専念することができて、結果的に命を買ったというイメージですが、それは今まで頑張ってきたからできたことだと思うので、66歳になって初めて自分を褒めることができました。堀切社長には、これから業界のリーダーとして新たなエネルギー開発を含め、価値の高い企業としてくれる事を期待しています。
塚田(譲渡企業)
担当者が、今回のきっかけを作ってくれました。彼のバックにはレコフという会社の看板があるので、会社のためにもなったと思いますし、彼自身の成長にも繋がったのではないでしょうか。たまに私のことを思い出してくれると嬉しいですね。
堀切(譲受企業)
塚田会長との出会いを作ってくれたレコフの担当者には感謝しかありません。彼の存在があったからこそ、塚田会長とも良い関係性を作ることができました。彼には可愛がられる才能があるのだと思います(笑)。
堀切(譲受企業)
会社を譲り受けたときの唯一の約束は、今いる社員とその家族を幸せにするということです。しっかりとしたその土台を預かったので、できないはずはありません。社員たちとその家族を幸せにするという目的達成のための売上や利益なので、そのために思い切って舵を切るという思いだけです。私は考えもしなかったですが、塚田会長はこの地域から上場企業を出すというロマンをお持ちです。塚田会長の存在のお陰で私は夢を見させてもらい、とても良い刺激になっています。
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