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業界別M&A
近年、マーケティング業界はM&Aの動きが活発化しています。同業同士でのM&Aはもちろん、異業種からの関心が高まっていることも特徴です。
マーケティング環境は、消費者やメディアの多様化が進む中で日々変化しています。M&Aは、さまざまな変化に対応する手段の1つです。
今回は、マーケティング業界の市場規模や経営課題、業界内のM&A動向について詳しく解説します。主なM&A事例やM&Aを成功させるポイントにも触れるため、ぜひ参考にしてください。
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事業承継・譲渡売却はマーケティング業界とは、消費者のニーズを調査して商品やサービスの企画を行う企業や事業の総称です。
マーケティング業界は、以下の3つに大きく分けられます。
●オフラインマーケティング
オフラインマーケティングは、インターネットを経由せずに行う手法です。インターネットが普及する以前から行われていた手法で、紙媒体や対面でニーズを汲み取ったり商品をアピールしたりすることが特徴です。
テレビやラジオのCM・テレアポ・イベント・屋外広告などが挙げられます。オフラインマーケティングは宣伝効果に優れており、幅広い年齢層に商品やサービスをアピールできます。
●Webマーケティング
Webマーケティングは、Webサイトを活用して自社商品やサービスの認知度を高める手法です。Web広告から自社のWebサイトに流入させたり、SEO対策によって自社のWebサイトを上位表示させたりします。施策の効果を数値化できるため、調査・宣伝を効果的に行えます。
●デジタルマーケティング
デジタルマーケティングは、インターネットを経由して行う手法です。メール・SNS・検索エンジン・位置情報などが用いられます。活用できる媒体が豊富であるため、効率的に消費者との接点を増やせます。旬のニーズにいち早く反応できるのも特徴です。
2024年の国内のデジタルマーケティング市場規模は、事業者売上高ベースで約3,672億円と推計されています。
矢野経済研究所が実施した調査による今後の市場規模予測は、下記の通りです。
2024年 | 3,672億円 |
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2025年 | 4,190億円 |
2026年 | 4,769億円 |
2027年 | 5,422億円 |
2028年 | 6,158億円 |
(出典:市場調査とマーケティングの矢野経済研究所「デジタルマーケティング市場に関する調査を実施(2025年)」https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3872 )
デジタルマーケティングの市場規模は、前年比113%前後で毎年増加が続くと予測されています。2027年には5,000億円を突破する見込みで、かつて最大規模であったテレビ広告をインターネット広告が抜き、右肩上がりが続いています。現在は、デジタルマーケティングが広告の主力です。
デジタルマーケティングの市場が成長した背景には、デジタル技術の進化や消費者ニーズの変化が影響しています。消費者の多くは、スマホやパソコンで情報を集める傾向にあります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、様々な業界でデジタル化が進んだことも理由の1つと言えるでしょう。
マーケティング業界では、デジタルマーケティングへの需要が増したことで、業界内の再編や新規参入が活発化しています。親和性が高いIT業界とのM&Aが増加し、業界内の競争力が激化していることも特徴です。
デジタルマーケティングへの需要が急拡大する中、マーケティング業界は多数の経営課題を抱えています。マーケティング業界のM&Aを検討している方は、どのような課題があるのか把握しておきましょう。
ここでは、マーケティング業界の主な経営課題を3つ解説します。
オフラインマーケティング・Webマーケティングを中心に事業を行っている企業にとって、デジタルマーケティング領域への事業拡大は大きな課題です。 Webマーケティングの市場規模も上昇傾向にありますが、業界再編や新規参入によってデジタルマーケティングの需要は増々高まることが予測されます。デジタルマーケティング領域にも対応できるように、環境を整えておきましょう。
既存顧客のニーズに応えられるだけでなく、新たな顧客層へのアピールにもつながります。
専門スキルを有する人材の確保もマーケティング業界の課題の1つです。
マーケティング業界では、調査スキル・分析力・企画力・コミュニケーションスキルなどが求められます。消費者のニーズは変化しやすいため、臨機応変に対応する力も必要です。
優れた人材の確保は、事業の安定や企業成長に大きく影響するため、人材確保への取り組みに力を入れましょう。人材確保の手段には、新規採用のほかに業務委託・社内育成・M&Aなどもあります。それぞれの効果とコストを考慮した上で、自社に合った方法を選びましょう。
マーケティング業界では、業界再編や新規参入によって市場競争が激化しています。さらに、国内における検索エンジンのシェアは約80%をGoogleが占めており、基幹サービスにおける寡占化が進んでいるのが現状です。 今後は差別化を図るために、小売・飲食店・観光などのサービスで仕入れた顧客情報とバーチャルサービスを融合させたマーケティング戦略が拡大すると予測されています。
自社の強みを活かし、顧客の視点に立って価値のある商品やサービスを提供できるかどうかがポイントです。
マーケティング業界では、M&A件数が増加傾向にあります。
業界内のM&Aに多く見られるパターンは、次の通りです。
自社だけで経営課題を改善するのではなく、同じように課題を抱える企業と手を組むことで企業成長を目指すケースが多く見られます。デジタルマーケティング領域への事業拡大や専門スキルを有する人材の確保が期待できます。
大手代理店による海外のマーケティング企業の買収は、グローバル分野における事業拡大が主な目的です。市場成長が見込まれる東南アジアなどへの進出が目立ちます。
コンサルティング会社やIT企業によるM&Aは、顧客層の拡大や競合との差別化を図る目的で行われています。バーチャルマーケティングとの融合を目的とした異業種間でのM&Aも活発です。
市場規模の拡大が続くマーケティング業界は、様々な業界から注目を集めています。
マーケティング業界のM&Aによる譲渡(売り手)側の主なメリットは、次の3つです。
ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
M&A後の事業は譲受(買い手)側に引き継がれるため、後継者不在問題を解決できます。後継者候補が見つからず今後の経営に不安を感じている方にとって、大きなメリットと言えるでしょう。
金融機関から融資を受ける場合、個人保証を設定しているケースがほとんどです。株式譲渡であれば債務も引き継がれるため、経営者は個人保証から解放されます。
事業譲渡の場合は、事業の一部が売却されるため個人保証は譲渡(売り手)側の経営者に残ります。ただし、事業譲渡の対価を返済原資に充てた場合、個人保証を外すことも可能です。
M&Aにより、譲渡(売り手)側の経営者は売却益を獲得できます。売却益は老後の資金や新しい事業を始める資金に充てることも可能です。企業価値や交渉次第では、高値で売却できる可能性もあるでしょう。
マーケティング事業のみの売却でも売却益が得られます。複数の事業を展開している場合は、マーケティング事業の売却で得た売却益を他の事業に充てることもできます。集中して取り組みたい事業がある場合、事業譲渡も検討してみましょう。
大規模グループの傘下に入ることで、事業基盤の安定化を図れます。 大規模グループは経営資源が豊富でインフラも充実しています。資金提供を受けて大きなプロジェクトを始めたり、サービスの品質を向上させたりすることも可能です。大手のブランド力を活かせるため、マーケティング市場における信頼度の向上も期待できます。
福利厚生が充実している企業であれば、従業員にとってもメリットが大きくなります。高いスキルを持つ従業員は、M&Aによって給与が高くなることもあるでしょう。事業の安定化には、従業員のモチベーションの維持も重要です。
マーケティング業界のM&Aによる譲受(買い手)側の主なメリットは、次の2つです。
ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
マーケティング業界のM&Aを実施することで、人材不足の問題を解決できます。
人材不足の解決方法は、新たに人材を採用したりアウトソーシングを活用したりするのが一般的です。しかし、採用と育成にはコストがかかり、アウトソーシングにはノウハウが蓄積できないといったデメリットもあります。
M&Aであれば、コストをおさえつつ専門スキルが豊富な即戦力となる人材をまとめて確保できます。従業員の1人あたりの業務負担を軽減できることもメリットです。人材に余裕が生まれることで、従業員の働きやすさも改善されるでしょう。
事業領域の拡大と競争力強化が図れることも大きなメリットです。 事業領域の拡大を目指すには、自社に知見がない分野のノウハウや技術を積極的に取り入れることがポイントです。マーケティングスキルがある人材を確保できれば、デジタルマーケティング領域への事業展開も進めやすくなるでしょう。事業の幅が広がれば、顧客ニーズにも応えやすくなります。
コンテンツ強化やマルチチャネル化により、競争力の強化も期待できます。他企業の優れた部分を取り入れることで、短期間で企業成長が見込めるでしょう。
マーケティング業界におけるM&Aを成功させるには、実際にどのようなM&Aが行われているのかを知ることも大切です。
ここでは、マーケティング業界におけるM&Aの事例を取り上げて、M&Aの目的やスキームについて詳しく解説します。
株式会社新大陸ホールディングスは、2024年1月にOff Beat株式会社を子会社化しました。
譲渡(売り手)側 | Off Beat株式会社 |
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譲受(買い手)側 | 株式会社新大陸ホールディングス |
M&Aの目的 |
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M&Aのスキーム | 株式譲渡 |
株式会社新大陸ホールディングスは、Webマーケティング支援を行う企業です。マーケティング戦略の立案から実務までトータルサポートを行っています。
Off Beat株式会社は、クリエイティブ制作・動画マーケティング事業に特化した企業です。優秀なクリエイターが100人以上在籍しており、制作物の品質の高さに定評があります。
技術と知見の融合によるサービス品質の向上を目的にM&Aが実施されました。
株式会社クロス・マーケティンググループは、2023年5月に株式会社トキオ・ゲッツを子会社化しました。
譲渡(売り手)側 | 株式会社トキオ・ゲッツ |
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譲受(買い手)側 | 株式会社クロス・マーケティンググループ |
M&Aの目的 |
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M&Aのスキーム | 株式譲渡 |
株式会社クロス・マーケティンググループは、デジタルマーケティング事業やデータマーケティング事業を展開する企業です。株式会社トキオ・ゲッツは、エンタメコンテンツを活用して企業向けプロモーション事業を行っています。 M&Aにより、株式会社クロス・マーケティンググループは知的財産権を活用したコラボ商品の開発が可能になりました。
トレンダーズ株式会社は、2023年4月にCARAFUL株式会社を完全子会社化しました。
譲渡(売り手)側 | CARAFUL株式会社 |
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譲受(買い手)側 | トレンダーズ株式会社 |
M&Aの目的 |
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M&Aのスキーム | 株式譲渡 |
トレンダーズ株式会社は、SNSマーケティング支援サービスを展開する企業です。CARAFUL株式会社は、インフルエンサーマーケティング事業を展開しています。 SNSマーケティング支援における専門性の向上を図ることで、企業成長とグループの価値向上を目指す狙いです。
マーケティング業界のM&Aを実施する場合は、正確な情報収集と実施タイミングを意識して準備を進めましょう。
マーケティング業界のM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。
【譲渡(売り手)側の成功ポイント】 |
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●自社の強みを明確にする できるだけ良い条件で譲渡するためにも、まずは自社の強みを明確にしてアピールすることがポイントです。「デジタルマーケティングの知識と技術」「クッキーレス広告技術」など、他の企業に負けない強みがある企業ほど、有利なM&Aを実現しやすくなります。 ●タイミングを逃さない M&Aを成功させるには、譲渡のタイミングも重要です。AIやビッグデータ解析技術など、マーケティングの手法や技術力は日々進歩しています。M&Aの準備に時間をかけすぎたり企業選びに時間がかかったりすると、売り時を逃すおそれがあります。 ●従業員のモチベーションを維持する M&A後に従業員が退職してしまうケースも少なくありません。人材流出を避けるためには、従業員のモチベーションを維持することが大切です。組織文化の大きな変化を避けたり待遇面へ配慮したり、従業員の不安を軽減できるように対策を講じましょう。 |
【譲受(買い手)側の成功ポイント】 |
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●シナジー効果が得られる企業を選ぶ M&Aを成功させるには、シナジー効果を得られる企業を選ぶことがポイントです。自社の弱みを補うだけではなく、結果が「1+1=2」以上になることを目指しましょう。 ●相手企業の譲渡理由を理解する M&A後のトラブルを防ぐためにも、相手企業の譲渡理由は正確に把握しましょう。表向きは後継者不在が理由でも、実際は経営に深刻な課題を抱えている可能性があります。譲渡理由に納得した上で、M&Aを進めることが大切です。 ●経営リスクをしっかりと把握する 株式譲渡は債務も含めて譲受(買い手)側が引き継ぐことになります。未払い残業代や未払い社会保険などの簿外債務がないか、しっかりと把握しましょう。業務プロセスをスムーズに統合できるかどうかも確認が必要です。 |
M&Aをスムーズに実施したいなら、M&Aに詳しい専門家に相談することがおすすめです。専門家のサポートを受けて、ベストなタイミングでM&Aを実施しましょう。
マーケティング業界の市場規模は、右肩上がりの状態が続いています。デジタルマーケティング分野を中心に、今後も拡大が続くと予測されています。
しかしながら、マーケティング業界では、多くの企業が人材不足や競争激化による差別化などの経営課題を抱えているのが現状です。経営課題を解決する目的で、M&Aを実施する企業も増えています。 マーケティング業界のM&Aを成功させるには、信頼できる専門家にサポートしてもらうのがおすすめです。M&Aを検討している方は、知識と実績が豊富な「株式会社レコフ」に相談してみましょう。
監修者プロフィール
株式会社レコフ リサーチ部 部長
澤田 英之(さわだ ひでゆき)
金融機関系研究所等で調査業務に従事後、政府系金融機関の融資担当を経て2005年レコフ入社。各業界におけるM&A動向の調査やこれに基づくレポート執筆などを担当。平成19年度農林水産省補助事業、食品企業財務動向調査委員、平成19年度内閣府経済社会総合研究所M&A究会 小研究会委員。著書・論文は「食品企業 飛躍の鍵 -グローバル化への挑戦-」(共著、株式会社ぎょうせい、2012年)、「データから見るIN-OUTの動向 -M&Aを通じた企業のグローバル化対応-」(証券アナリストジャーナル 2013年4月号、公益社団法人 日本証券アナリスト協会)など。
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