平日9:00〜18:00
M&A初級編
企業が持続的に事業を拡大していくためには、市場環境や顧客ニーズの変化に対応しながら、自社の強みや経営資源を活かして競争力を高めていくことが重要です。また、企業の置かれている状況や成長フェーズによって、優先すべき取り組みも異なります。
そして、企業の成長に向けた中長期的な方向性や具体的な取り組みを示すものが「成長戦略」です。成長戦略を策定する際は、経営ビジョンや経営課題などを整理したうえで、自社に適した成長の手法を検討する必要があります。
当記事では、成長戦略の基本的な考え方から、策定に役立つフレームワークや主な手法、大手企業・中小企業それぞれに適した成長戦略まで詳しく紹介します。
基本合意まで無料
事業承継・譲渡売却は
成長戦略とは、企業が将来にわたって事業を拡大し、売上や利益、企業価値などを高めていくための中長期的な方針や計画のことです。
市場環境や顧客ニーズ、競合他社の動向などを分析し、自社の強みや経営資源を踏まえながら、どの領域でどのように成長を目指すのかを具体化します。
成長戦略には、既存事業の拡大だけでなく、新商品・サービスの開発や新市場への進出、M&Aによる外部資源の獲得など、複数の選択肢があります。限られたヒト・モノ・カネ・情報をどこへ重点的に配分するのかを明確にすることも、成長戦略を考えるうえで重要です。
市場や顧客ニーズが変化する中、従来と同じ事業展開を続けるだけでは、競争力が低下する可能性があります。将来の環境変化を見据えて成長の方向性を定め、必要な施策を計画的に実行していくことは、企業が競争力を維持しながら持続的な成長を目指すうえで重要です。
また、成長戦略によって企業が目指す方向性を明確にすれば、経営層だけでなく従業員とも認識を共有しやすくなり、組織全体で共通の目標に向かって取り組むための指針にもなります。

企業の成長戦略を練る際は、自社は現在どの成長フェーズにいるのかを知ることが大切です。
企業が成長するまでの流れは、「創業期」に始まり「成長・安定期」、「成熟期」、「衰退期」という4つの過程で構成されます。ここからは、各フェーズの詳細を説明します。
成長フェーズの中でも、起業したての段階に該当するのが「創業期」です。創業したばかりの時期では、地盤が固まっておらず事業が確立していないこともあります。いかにスピーディーに地盤を固められるかは、経営者層の手腕にかかっています。
なお、創業期のことを「幼年期」と呼ぶケースもありますが、成長フェーズにおける意味合いとしては同義です。
「成長期」は、事業に対して顧客やリピーターが生まれ、収益が安定してくる時期です。さらなる企業成長のため、人材確保や人材育成などを進める必要があります。
企業の規模が大きくなるぶん、部署やチームなどを取りまとめる管理者の存在が不可欠です。
事業拡大や人材確保というフェーズを経た企業は、「成熟期」へ突入します。事業の成長がひと段落するため、組織体制を全体的に見直しながら、今後さらに成長するためにはどうすればいいのかを考え始めるフェーズです。このフェーズに合った成長戦略を考えていないと、衰退期への突入が速くなります。
成熟期の成長戦略で特に重要なのが、経営者が企業の経営状況をリアルタイムで追うことです。成熟期は利益が安定している時期だからこそ、次は何に投資すべきかを慎重に考える必要があります。
リアルタイムの経営状況を正確に把握しておかねば、適切な判断は下せないと言っても過言ではありません。
「衰退期」は、収益が低迷してくる時期です。このフェーズでは事業撤退や体制の改革など、大きな選択を迫られることになります。事業の撤退は、「現在の事業に投資価値があるか?」という点を早急に見極めることが大切です。
衰退期を経て、新規事業の立ち上げなどが行われた後は、また創業期に戻ります。このサイクルを総じて「成長フェーズ」と呼びます。
また、低迷している事業であっても、改革を起こせば収益を回復できる可能性があります。企業によっては、M&Aを検討するところもあるでしょう。
M&Aとは、企業同士の合併や事業の買収などを指します。事業継承の手法としてもよく活用されているのが特徴です。衰退期の企業が同業他社へ事業を譲渡し、事業継続を図るケースは少なくありません。

成長戦略を練る際は、前述した成長フェーズに加えて経営ビジョンや経営目標、経営課題などをしっかり把握しておくことが大切です。これらの認識が曖昧なままだと、成長戦略の目的そのものがぼやけてしまいます。
そこで次に、成長戦略を練る際に整理すべき5つの経営要素について、それぞれ詳しく説明します。
経営ビジョンとは、企業の目指す理想像を言語化したものです。経営ビジョンをもとに「業界でどのような立ち位置を築きたいのか」、「事業を今後どのように展開していきたいのか」といった点を見直していきます。
一言で経営ビジョンと言っても、業界をリードする第一人者企業になりたいのか、労働生産性に秀でた企業になりたいのかでは練るべき戦略が大きく異なります。さらに健全な労働環境を作るためにも、理想とする社員と会社の関係性を明確にすることも大切です。
経営ビジョンで企業が目指すべき場所を見直したら、具体的な経営目標を決めます。ビジョンの到達に向けて、数ヶ月・数年単位でどのような動きをするのかアクションプランを立てましょう。
具体的な数値や達成期間など、可視化できるデータを使って明確に定める必要があります。
業績数値を用いて、企業の将来像を見据えた時の目標が業績目標です。
日常業務で達成すべき数値をはじめ、長期的な資本利益率や労働生産性、一人あたりの人件費などを考慮して算出する必要があります。
経営課題とは、現状と経営目標の間にあるギャップです。自社の強みや弱み、経営環境などから経営実態を洗い出したうえで、経営目標とのギャップがどこにあるのかを考えます。
それぞれの課題を調査したうえで、優先順位をつけて解決に当たる必要があります。
経営戦略は、経営課題の解決方法、および企業を成長させるための計画です。自社の強みや弱み、経営環境などを考慮して練っていきます。このとき、特に重要なのが「事業領域」を検討することです。
事業領域とは、その名の通り事業を行うフィールドを指します。事業領域は市場や事業のジャンル、サービスや商品などの経営資源によって決まります。
どの市場でどのような商品を提供するのかや適切な市場で勝負できているのかなどを考えることで、経営戦略が練りやすくなるでしょう。

成長戦略を策定する際は、経営者の経験や感覚だけに頼るのではなく、自社の現状や市場環境、競合との関係などを客観的に整理したうえで、今後の方向性を検討することが重要です。
そこで役立つのが、経営分析に用いられる各種フレームワークです。フレームワークを活用すれば、自社の強み・弱みや外部環境の変化、事業の成長余地などを一定の視点に沿って整理でき、成長戦略を立案する際の根拠を明確にしやすくなります。
ただし、フレームワークによって分析する対象や目的は異なります。1つだけですべてを分析しようとするのではなく、必要に応じて複数のフレームワークを組み合わせることも有効です。
ここでは、成長戦略の策定に役立つ代表的なフレームワークとして、「アンゾフの成長マトリクス」「SWOT分析」「PEST分析」「バリューチェーン分析」の4つを紹介します。
アンゾフの成長マトリクスとは、企業がどのような方向で事業を成長させるかを検討するためのフレームワークです。経営学者のイゴール・アンゾフ氏によって提唱されました。
アンゾフの成長マトリクスでは、「市場」と「製品」の2軸について、それぞれを「既存」と「新規」に分け、企業の成長戦略を次の4つに分類しています。
| 既存製品 | 新規製品 | |
|---|---|---|
| 既存市場 | 市場浸透戦略 | 市場開拓戦略 |
| 新規市場 | 新製品開発戦略 | 多角化戦略 |
アンゾフの成長マトリクスを用いる際は、自社の経営資源や競争環境、成長フェーズなどを踏まえてどこに成長余地があるのかを検討し、適切な戦略を選択することが大切です。
●市場浸透戦略(既存市場×既存製品)
市場浸透戦略は、既存の市場や顧客に対して、既存の製品でアプローチする成長戦略のことです。例えば、既存顧客の購入頻度を高める、リピート率を向上させる、販売促進を強化する、価格設定を見直す、アフターフォローを充実させるといった施策が挙げられます。
体制や市場がある程度整っているためビジネスを展開しやすく、起業する際のリスクを抑えられるのが魅力です。一方、市場そのものが成熟・縮小している場合は、既存市場だけで大幅な成長を実現することが難しいケースもあります。
●新製品開発戦略(既存市場×新規製品)
新製品開発戦略とは、すでに取引や接点のある既存市場に対して、新しい製品・サービスを投入して成長を目指す戦略です。主な施策としては、バージョンアップ商品の提供や、関連商品の売り込みなどが挙げられます。
すでに顧客との関係や市場に関する知識があるため、新規市場へ進出する場合と比べて販売先を確保しやすい点が特徴です。一方で、製品開発には研究開発費や設備投資、人材確保などが必要となる場合があります。
●市場開拓戦略(新規市場×既存製品)
市場開拓戦略とは、既存の製品・サービスを、新たな地域や顧客層に向けてアプローチする戦略です。地元から全国、国内から海外など展開するエリアの規模を拡大したり、アプローチ対象を広げたりするといった取り組みが挙げられます。
製品そのものを一から開発する必要はないものの、市場ごとにニーズや競合環境、商習慣などが異なります。良い市場や顧客を見つけるためには、専門的な分析や調査が不可欠であり、既存市場へのアプローチよりも作業量やコストの増加が想定されます。
●多角化戦略(新規市場×新製品)
多角化戦略とは、新しい市場に対して、新しい製品・サービスを展開する戦略です。既存事業や進出する市場との関連性、さらに技術・ノウハウの活用方法によって、いくつかの種類に分けられることも特徴となっています。
既存事業とは異なる新たな収益源をつくることで、事業領域の拡大や収益基盤の分散を目指せる一方で、ゼロからの事業進出となるため、市場調査や製品開発、人材育成、設備投資など多くの経営資源が必要で、4つの戦略の中でもリスクは高めと言えるでしょう。
SWOT分析とは、自社を取り巻く状況を「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4つの観点から整理するフレームワークです。
| 内部環境 | Strength(強み) | 技術力、ブランド力、顧客基盤、人材など、自社が競合より優位に立てる要素 |
|---|---|---|
| Weakness(弱み) | 人材不足、認知度の低さ、高いコスト構造など、自社が抱える課題 | |
| 外部環境 | Opportunity(機会) | 市場拡大や需要の増加、技術革新、規制緩和など、自社にとって追い風となる外部要因 |
| Threat(脅威) | 市場縮小や競合の参入、原材料の価格高騰、法規制の変更など、自社にとって不利となり得る外部要因 |
StrengthとWeaknessは自社で一定程度コントロールできる「内部環境」、OpportunityとThreatは自社だけではコントロールするのが難しい「外部環境」に該当します。これら4つを整理することで、自社が置かれている状況を多角的に把握できます。
さらに、SWOT分析で抽出した要素を組み合わせて具体的な戦略を考える方法が「クロスSWOT分析」です。クロスSWOT分析では、主に次の4つの組み合わせから戦略を検討します。
強み×機会(SO戦略)
自社の強みを活かし、市場の機会を積極的に取り込む
弱み×機会(WO戦略)
自社の弱みを改善・補完しながら、市場の機会を活かす
強み×脅威(ST戦略)
自社の強みを活用して、外部環境の脅威による影響を抑える
弱み×脅威(WT戦略)
弱みと脅威が重なるリスクを、できるだけ回避・縮小する
例えば、高い技術力という「強み」と、市場拡大という「機会」がある場合、その技術力を活かした商品を成長市場へ投入するといった戦略が考えられます。
一方、人材不足という「弱み」と需要増加という「機会」が重なる場合は、採用強化や外部企業との提携などによって供給体制を整える方法も考えられます。
SWOT分析は現状を整理するだけでも役立ちますが、成長戦略につなげるためにはクロスSWOT分析によって各要素を掛け合わせ、「具体的に何をするのか」まで落とし込むことが大切です。
PEST分析とは、企業を取り巻くマクロな外部環境を「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つの視点から分析するフレームワークです。
| Politics(政治) | 法改正、規制の強化・緩和、税制、政府の政策、補助金・支援制度など |
|---|---|
| Economy(経済) | 景気、経済成長率、物価、金利、為替、雇用情勢、消費動向など |
| Society(社会) | 人口動態、少子高齢化、ライフスタイル、価値観、消費者意識の変化など |
| Technology(技術) | AIやDXをはじめとする技術革新、研究開発、特許、新たな生産技術など |
企業活動は、自社や競合企業の動向だけでなく、法改正や景気、人口構造、技術革新など、企業自身ではコントロールしにくい外部要因から影響を受けます。
PEST分析を活用することで、中長期的に自社へ影響を与えそうな環境変化を整理し、将来の成長機会やリスクを検討しやすくなります。
企業を取り巻く環境の変化を早い段階で把握しておけば、新市場への参入や新製品の開発、既存事業の見直しなどを検討するための良い材料となるでしょう。
なお、PEST分析では、単に外部環境に関する情報を集めるだけでは十分ではありません。「その変化が自社の事業にどのような影響を与えるのか」「機会とリスクのどちらになり得るのか」というところまで掘り下げて考えることが重要です。
また、政治・経済・社会・技術の環境は時間とともに変化するため、成長戦略を見直す際には定期的に情報を更新する必要があります。
バリューチェーン分析とは、企業が商品・サービスを顧客へ提供するまでの一連の活動を細かく分解し、どの工程で付加価値が生まれているのかを分析するフレームワークです。「バリューチェーン」は日本語で「価値連鎖」を意味します。
企業活動を工程ごとに分解することで、自社が競合他社と比べて優位性をもつ部分や、コストがかかりすぎている部分、改善の余地がある部分などを把握しやすくなります。自社の限られた経営資源をどの活動へ重点的に投入すべきかを考える際にも役立つでしょう。
バリューチェーン分析では、企業活動を主に「主活動」と「支援活動」の2つに分けて整理します。
●主活動
商品・サービスが顧客へ届くまでに直接関係する活動です。何が主活動となるかは業種によって異なるものの、小売業における代表的な活動としては、購買物流や製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスなどが挙げられます。
●支援活動
主活動を支えるための活動です。代表的な支援活動としては、全般管理や人事管理、技術開発、調達活動などが挙げられます。
例えば、製造工程に独自の技術や高い生産効率がある場合、その工程が自社の競争優位性を生み出している可能性があります。反対に、物流コストが競合他社より高い場合は、物流体制の見直しによって収益性を改善できる余地があると考えられます。
また、バリューチェーン分析では、それぞれの活動を個別に見るだけでなく、活動同士のつながりを確認することも重要です。製造部門だけを効率化しても、調達や物流に課題が残っていれば、企業全体として十分な成果につながらないことがあります。
アンゾフの成長マトリクスやPEST分析などが「どの市場・事業で成長するか」を考える際に役立つのに対し、バリューチェーン分析は、自社のどの機能や活動を強化して成長を実現するかを検討する際に有効なフレームワークと言えるでしょう。

ここまで説明してきたように、企業が成長を目指す方法は1つではありません。現在の事業をさらに伸ばす方法もあれば、新たな市場・事業へ進出したり、他社がもつ経営資源を取り込んだりする方法など、多岐にわたります。
ここでは、成長戦略の主な手法・パターンを3つに分けて紹介します。
まず挙げられるのが、現在展開している事業を強化し、売上や利益、市場シェアなどの拡大を目指す方法です。
例えば、マーケティングや営業活動を強化して新規顧客を獲得する、既存顧客の購入頻度やリピート率を高める、商品・サービスを改良して顧客満足度を高めるといった取り組みがあります。
また、販売地域やターゲットとなる顧客層を広げることも、既存事業を成長させる方法の1つです。
すでに保有している商品・サービスや顧客基盤、ノウハウなどを活用しやすいため、比較的取り組みやすい点が特徴です。一方、市場が成熟・縮小している場合には、既存事業だけでは大きな成長が難しくなる可能性もあります。
既存事業だけでは十分な成長が見込めない場合、新たな市場や事業領域へ進出する方法も検討してみると良いでしょう。
具体的には、既存の商品・サービスを海外や新しい顧客層へ展開するほか、新たな製品・サービスを開発したり、これまでとは異なる事業分野へ参入したりする方法が挙げられます。
既存事業で培った技術やブランド、顧客基盤、販売網などを新たな事業に活かせれば、相乗効果も期待できます。
ただし、新規市場や新規事業には不確実性が伴います。市場調査や商品開発、人材確保、設備投資などが必要になるケースも多いため、自社の強みや経営資源を踏まえて進出先を慎重に検討することが重要です。
自社だけで必要な技術や人材、販売網などを一から構築するのではなく、M&Aや業務提携などによって外部企業の経営資源を取り込み、成長を目指す方法もあります。
例えば、同業他社をM&Aによって取得して事業規模や市場シェアを拡大するほか、異なる技術やノウハウをもつ企業を取り込んで新規事業への参入を図ることが考えられます。また、企業同士で業務提携を行い、互いの技術や販売網、顧客基盤などを活用する方法もあります。
自社内ですべての経営資源を育成・構築する場合と比べ、事業拡大や新市場への参入にかかる時間を短縮できる可能性がある点が特徴です。
ただし、M&Aでは買収後の組織や業務、システムなどを統合するPMI(Post Merger Integration)も重要になります。外部の経営資源を取り込むこと自体を目的とせず、自社の成長戦略との整合性や、取り込んだ資源をどのように活かすかまで見据えて実行することが大切です。

企業に適した成長戦略は、事業規模や保有する経営資源、抱えている経営課題などによって異なります。大手企業では新規市場への進出や事業ポートフォリオの拡大、中小企業では限られた経営資源の有効活用や事業承継なども重要なテーマです。
ここでは、大手企業と中小企業に分け、それぞれに適した成長戦略について紹介します。
近年、さらなる成長を目指す大手企業によく選ばれる手法はM&Aです。
M&Aは、中小企業だけでなく大企業の成長戦略の一助になります。事業の買い手となる企業は、すでに事業基盤をもつ企業を取得することで、新規事業への参入や市場開拓に必要な時間・コストを抑えられる可能性があります。
新たな顧客基盤や販売網、技術、ノウハウなどを取り込めれば、新分野への進出だけでなく、既存事業との相乗効果も期待できます。また、自社が不得手とする分野を補完できる企業とM&A契約を結ぶことで、自社の弱点補強にも繋がります。
さらに、M&Aによって、業界再編が進むのも大きな特徴です。特に需要がピークに達した大企業同士の場合、苛烈な顧客争奪戦が起こります。それによって両者が消耗すると、経済に大きな影響が及ぶことは間違いありません。
M&Aによって競合同士が合併すると、結果的に極端な顧客争奪戦が起こりにくくなり、経済への悪影響を抑えられます。加えて、成熟期に達した企業が新たな市場を開拓する際の一助にもなるのです。
中小企業の成長戦略では、限られた人材や資金をどの事業へ配分するかに加え、事業承継や後継者不足への対応も重要な経営課題となります。収益性や将来性のある事業であっても、後継者が見つからなければ事業を継続できない可能性があります。
M&Aは、こうした課題への対応策としても注目されています。企業の吸収合併という印象の強いM&Aですが、株式譲渡や事業譲渡などを通じて第三者へ経営や事業を引き継ぐことで、後継者不足の解消や事業の存続につなげることが可能です。
売り手企業にとっては、事業を継続しながら従業員の雇用や取引関係を維持できる可能性があるほか、買い手企業の経営資源を活用することで、事業のさらなる発展につながることもあります。
一方、買い手企業は、すでに事業ノウハウや人材、顧客基盤などをもつ企業を取り込むことで、自社だけで一から事業基盤を構築する場合と比べ、事業拡大を効率的に進めやすくなります。
もちろん、中小企業の成長戦略はM&Aに限られません。既存事業への経営資源の集中や新規顧客の開拓、他社との業務提携なども含め、自社の経営課題や将来像に適した方法を検討することが重要です。
成長戦略とは、企業が将来にわたって事業を拡大し、持続的な成長を目指すための中長期的な方針や計画です。策定の際は、自社の成長フェーズや経営課題などを整理するとともに、アンゾフの成長マトリクスやSWOT分析などのフレームワークを活用し、自社に適した方向性を検討することが重要です。
企業が中期的な目標を達成するには、内部成長に加え外部成長が必要になる場合があります。企業が外部成長を遂げるための戦略的行動として、M&Aは、現在ではごく一般的な経営手法と言えます。コア事業の強化、事業の多角化など、活用場面もさまざまです。
M&Aを含めた今後の成長戦略や事業展開について検討している方は、M&Aの豊富な実績とノウハウを有する「レコフ」へぜひお気軽にご相談ください。
監修者プロフィール

株式会社レコフ リサーチ部 部長
澤田 英之(さわだ ひでゆき)
金融機関系研究所等で調査業務に従事後、政府系金融機関の融資担当を経て2005年レコフ入社。各業界におけるM&A動向の調査やこれに基づくレポート執筆などを担当。平成19年度農林水産省補助事業、食品企業財務動向調査委員、平成19年度内閣府経済社会総合研究所M&A究会 小研究会委員。著書・論文は「食品企業 飛躍の鍵 -グローバル化への挑戦-」(共著、株式会社ぎょうせい、2012年)、「データから見るIN-OUTの動向 -M&Aを通じた企業のグローバル化対応-」(証券アナリストジャーナル 2013年4月号、公益社団法人 日本証券アナリスト協会)など。
M&Aのことなら、
お気軽にご相談ください。
お電話で
お問い合わせ
営業時間 / 平日9:00〜18:00
M&Aのことなら、
お気軽にご相談ください。
お電話で
お問い合わせ
営業時間 / 平日9:00〜18:00