Useful

会社譲渡の流れを解説

M&A初級編

2024.05.17更新日:2024.05.17

会社譲渡は会社の存続につながるだけでなく、後継者不足の解消や従業員の雇用を守ることにもつながります。ここでは、会社譲渡の概要や具体的なメリット・デメリット、会社譲渡の全体的な流れを解説します。

目次

会社譲渡とは

会社譲渡とは、第三者へ会社の経営権を譲渡することを指します。ここでいう経営権とは株式のことです。つまり会社譲渡とは、第三者へ自社株式を売却して対価を得たうえで、事業存続や継承を図る方法です。

「会社譲渡」と「事業譲渡」の違い

株式譲渡とよく似たM&A手法として挙げられるのが「事業譲渡」です。両者の違いは、譲渡するものが会社全体(株式)か事業かという点にあります。会社全体を第三者へ譲渡する株式譲渡に対し、事業譲渡は会社そのものではなく事業の一部もしくは全てを譲渡するのがポイントです。

「会社譲渡」と「株式譲渡」の違い

株式譲渡と会社譲渡は、株式を第三者へ譲渡して経営権を移す手法です。したがって両者は名前こそ異なるものの、基本的に同義語として捉えられます。

会社譲渡を検討する目的とは?

会社譲渡を検討する目的は、主に「後継者不足の解消」、「雇用の維持」、「創業者利益の獲得」の3点です。下記にて、それぞれを詳しく解説します。

後継者不足の解消

会社譲渡では、後継者問題を解消することが可能です。近年、中小企業を中心に後継者不足で悩む企業が増加しています。2023年時点の帝国データバンクの調査では、60歳以上の経営者の60%以上が将来的な廃業を予定しており、そのうち、約3割の企業が「後継者不足」を廃業理由として挙げていることがわかっています(※)。親族や部下に後継を任せようと思っても、断られてしまうケースもあります。会社譲渡は、こうした深刻な後継者不足を解消する手段として注目されています。

※参照元:
帝国データバンク

雇用の維持

廃業は、経営者だけでなく従業員にとっても残念な選択になります。会社譲渡で事業を存続できれば、従業員の雇用を守ることに繋がります。

創業者利益の獲得

創業者利益とは、創業者が会社譲渡をした際に得る利益を指します。売却するのは会社設立時から保持している自社株です。会社設立時は低かった株価も、会社が成長とともに上昇していれば、自社株を売却する際は大きな利益が得られます。

会社譲渡のメリット

会社譲渡を行うメリットは主に4点あります。それぞれ解説していきます。

①事業承継につながる

後継者不在の会社を第三者へ譲渡することで、事業承継が可能です。新たな後継者を一から探したり、乗り気ではない親族へ経営権を譲渡したりするよりもスムーズに後継者不足を解消できます。

②負債や担保も買い手へ引き継げる

会社譲渡を行うと、売り手企業の資産だけでなく負債や担保も買い手企業が引き継ぐことになります。くわえて経営者の個人保証も買い手企業に引き継げるのもポイントです。結果的に会社の負債や担保、経営者の個人保証から解放されるのです。

③雇用やスキルを維持できる

会社譲渡では、従業員の雇用も買い手企業へ引き継がれます。これによって従業員の雇用が守られるうえ、優秀な人材やスキル、貴重なノウハウの損失も防げます。

④企業の新たな発展につながる

大手企業へ会社を譲渡することで、これまでにない豊富な資本や経営資源を活用できるようになります。そこに今まで培ったスキルやノウハウを組み合わせればシナジー効果が生まれ、会社のさらなる発展も十分に期待できます。

会社譲渡のデメリット

会社譲渡を行うデメリットは主に3点あります。それぞれ解説していきます。

①会社名が変わってしまうこともある

買い手企業の意向や要望によって、会社名が変わることがあります。急な社名変更によって従業員や取引先が混乱することも予想されるため、社名変更が必要な場合は、できるだけ丁寧に説明をすることが大切です。

②早期リタイアが実現しない可能性もある

経営者の中には、早期リタイアを目的として譲渡を実施する方もいます。ただ実際の譲渡では、旧経営者として複数年企業へ身を置く「ロックアップ(※)」を受ける可能性があります。

(※)ロックアップ…譲渡後に経営者がすぐに引退してしまうと事業が上手く回らなくなったり、引継ぎがスムーズにいかなかったりする可能性も0ではありません。ロックアップは、このような混乱を防止するためのルールで、「キーマン条項」とも呼ばれます。ロックアップが定められている場合、譲渡をしても数年間は会社に残る必要があることを覚えておきましょう。

③買い手がなかなか見つからない可能性も

大前提として、会社の譲渡は買い手企業がいて初めて成り立つものです。いざ買い手企業を募っても、「思うように買い手が見つからない」と悩む経営者も少なくありません。スムーズに買い手企業を見つけるためには、専門知識と実績を持ったM&A助言会社に相談するのもひとつの手です。

譲渡をした後はどうなる?

譲渡をすると、経営者をはじめ従業員や取引先に様々な影響が及びます。具体的に考えられる影響の内容を、順番にご紹介します。

経営者への影響

譲渡を行うと、売り手企業の経営者は引退するケースがほとんどです。新たな経営者や取締役には、買い手企業側から選出されます。ただし「ロックアップ」が定められている場合は完全な引退とはなりません。指定期間中は会社へ引き続き残る必要があるのがポイントです。ロックアップの期間は契約内容により異なりますが、3ヶ月~2年以内のケースが多くみられます。このロックアップ期間中、旧経営者は顧問や相談役、会長といった役職についてサポートを行うことが一般的です。

従業員への影響

従業員の雇用は引き続き継続され、待遇も良くなることがほとんどです。一般的な会社譲渡のケースでは、買い手企業が売り手企業以上の経営資本や資金を持っています。譲渡後、従業員の給与や福利厚生などの待遇は買い手企業のものに準ずることがほとんどです。会社譲渡はより強い企業が買い手となるケースが多いため、結果として待遇アップにつながるのです。

取引先への影響

取引先と結んでいる契約名義は、買い手企業の名義へ変更されます。変更されるのは契約名義だけで、基本的に取引内容が変更されることはありません。

債権者への影響

経営者が交代しても、債権者と売り手企業の関係性は変わりません。ただし、ここで覚えておきたいのが連帯保証人の書き換えの有無です。旧経営者が会社の連帯保証人になっている場合は、新経営者を連帯保証人として書き換える必要があります。

会社の譲渡はどのようにして行われるのか

会社の譲渡は、以下の流れで進むことが一般的です。

社内での検討

会社の譲渡を行うべきか否か、社内で検討します。譲渡は自社にとって最善の判断なのか、もし譲渡をするのであればどのような買い手企業を探すのか、いつまでに譲渡を終えるのかなど、検討すべき内容は様々です。

専門家へ相談

社内で十分に検討したうえで、M&A助言会社に相談します。M&Aでは、様々な専門知識が必要です。社内で完結させることは難しく、ときには情報漏洩や手続きの不備といったトラブルが発生することも考えられます。M&Aアドバイザーへ相談すれば、こうしたトラブルを防いでスムーズに譲渡を進められるのが特徴です。

買い手企業探し・マッチング

M&Aアドバイザーに、買い手企業の提案やマッチングを依頼するフェーズです。M&Aアドバイザーは、売り手企業のヒアリングや今後期待できるシナジー効果を踏まえたうえで、独自のネットワークを活用して買い手企業を提案しています。

トップ同士の面談

売り手企業と買い手企業がマッチングしたら、経営者同士で譲渡の方向性などを話し合います。

基本合意契約の締結

買い手企業から提出された意向表明書に同意したら、会社の譲渡に前向きであるという姿勢を示す「基本合意契約」へ移ります。

デューデリジェンスの実施

基本合意契約を締結したら、買い手企業が売り手企業を調査する「デューデリジェンス」へ移ります。このデューデリジェンスを通して、買い手企業は売り手企業の正しい価値や抱えるリスクを把握します。デューデリジェンスでは、会計や法務・税務に関する細かな資料の提出、専門家による訪問調査を通した精査が行なわれます。このデューデリジェンスでとくに問題がなければ、最終合意契約を結んで統合を進め、株式譲渡が完了します。

譲渡する際の価格はどのように決まる?

会社の価格を算定する方法には、「コストアプローチ」「インカムアプローチ」という2パターンの算出方法があります。コストアプローチとは、帳簿上すべての資産・負債を時価評価したうえで純資産の金額を算出し、企業価値を計算する手法です。インカムアプローチは将来的な収益を予想し、その際のリスクを考慮した割引率を用いて企業価値を算定する手法を指します。

基本的にはこれらの算定方法をもとにして企業価値が割り出されますが、条件によっては計算額以上の高値がつくこともあります。例えば訴訟問題や取引先との契約問題などがなく、法務・財務状況が極めて健全だと判断されれば高値がつく可能性があります。そのほか、売り手企業ならではのブランド力やエリア展開力などの強みが高く評価されれば、高値売却も十分に期待できます。

譲渡する際の注意点

譲渡を行う際は、「譲渡益に税金がかかる」「競業避止義務が課せられる」というポイントに注意する必要があります。まず会社を譲渡して利益を得ると、そこに税金が発生することを覚えておきましょう。たとえば株主が個人であったときに発生する税額は「譲渡益×20.315%」、株主が法人であった場合は「譲渡益×19%~23.2%」となります。

競業避止義務とは、簡単にいうと新事業の立ち上げが制限される義務です。会社譲渡における売り手企業は、買い手企業の利益を守るために一定期間中の新事業立ち上げを規制されます。新規事業を立ち上げたことで買い手企業の競合となり、買い手企業の利益を損ねる可能性が考えられるからです。

老舗のM&A助言会社レコフ

M&Aは様々な専門知識が必要となる大きな取引です。知識がないまま自社と買い手企業だけで手続きを進めようとすると、思わぬトラブルに発展して手続きがスムーズに進まないことも十分にありえます。そこで大切なのが、確かな実績と専門知識を持ったM&A助言会社へサポートを依頼することです。

レコフは、1987年の創業以来、1000件に上るM&A案件を成立させてきた老舗で、国内のM&A助言会社の草分け的存在です。吸収合併をはじめ、株式譲渡や業界再編、グループ再編などあらゆるケースのM&Aを成立させてきた実績があります。上場企業同士の統合など、大型の案件にも多く携わってきたのも強みです。

これまで培ってきたM&Aの専門知識や企業との太いパイプを活かし、現在も様々な案件をサポートしています。また業界の情報へ常にアンテナを立て、最新の業界再編動向をインプットしております。こうした情報収集能力を活かし、依頼者様にとって最適なM&A手法を提案しています。株式譲渡や事業譲渡、事業再編のことでお悩みがあれば、ぜひレコフへご相談ください。

監修者プロフィール

株式会社レコフ リサーチ部 部長

澤田 英之(さわだ ひでゆき)

金融機関系研究所等で調査業務に従事後、政府系金融機関の融資担当を経て2005年レコフ入社。各業界におけるM&A動向の調査やこれに基づくレポート執筆などを担当。平成19年度農林水産省補助事業、食品企業財務動向調査委員、平成19年度内閣府経済社会総合研究所M&A究会 小研究会委員。著書・論文は「食品企業 飛躍の鍵 -グローバル化への挑戦-」(共著、株式会社ぎょうせい、2012年)、「データから見るIN-OUTの動向 -M&Aを通じた企業のグローバル化対応-」(証券アナリストジャーナル 2013年4月号、公益社団法人 日本証券アナリスト協会)など。

M&Aを知る最新記事

選ばれる理由

  • 創業1987年の老舗イメージ画像
    1

    創業1987年の老舗

    レコフは日本にM&Aという言葉が広まる前から創業している歴史あるM&A助言会社で、豊富な実績がございます。

  • 業界トップクラスの成約件数実績イメージ画像
    2

    業界トップクラスの
    成約件数実績

    創業以来、1,000件以上の案件の成約をサポートして参りました。M&Aブティックの草分けとして様々な案件に携わってきた経験を蓄積し、新たなご提案に活用しております。

  • 約2万社の顧客基盤数イメージ画像
    3

    業界に精通した
    アドバイザーがサポート

    プロフェッショナルが業界を長期間担当し精通することにより、業界の再編動向、業界を構成する各企業の歴史や戦略、トップマネジメントの人柄に至るまで、対象業界に関する生きた情報を把握しております。

ご相談無料

M&Aのことなら、
お気軽にご相談ください。

お電話で
お問い合わせ

電話アイコン
03-6369‐8480

営業時間 / 平日9:00〜18:00