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業界別M&A
M&Aは、不動産業界や人材業界、IT業界などさまざまな業界で浸透してきています。今回はM&Aが進む業界と、考えられる浸透理由をまとめました。あわせて、M&Aを取り巻く今後の展望も解説します。
M&Aは事業存続や後継者不足の解消、事業再編などさまざまな問題を解消する手段のひとつです。日本国内におけるM&Aの歴史は海外に比べるとやや浅いものの、年々活発になっていることが報告されています。2023年の日本のM&A件数は、4,015件となりました。近年のM&Aの動向としては次の3つの傾向があります。
(1)の中小企業のM&A需要が高まっている背景には次のような理由が挙げられます。
<中小企業のM&Aが急増する理由>
後継者不足に悩む企業は、中小企業を中心に増加しています。60歳以上の経営者のうち、60%以上が「将来的な廃業を予定している」と回答していることが帝国データバンクの調査から分かっています(※)。そのうち約3割は、「後継者不在」を理由に廃業を予定していると答えているのです。黒字経営であっても、後継者不足を理由に廃業を予定するという企業も少なくありません。後継者不足の解消を急務としている企業にとって、事業継承M&Aは有効な解決策だといえます。
※参照元:
帝国データバンクM&Aにはマッチングや融資、デューデリジェンス(買収監査)など様々なフェーズがあります。各フェーズを推進する業界としては「M&A専門会社」にはじまり、「銀行・証券会社」「法律事務所」「監査法人」等が挙げられます。以下で、各業界とM&Aの関係性をまとめました。
M&A専門会社は、M&Aにおける売り手企業と買い手企業の間もしくはいずれかの立場に立ち、M&A推進のサポートを行います。仲介の場合、買い手と売り手の希望をすり合わせながら、双方が納得できる条件で成約させるのが役割です。
M&Aにおける銀行・証券会社の役割は、M&Aに必要な資金を融資することでしたが、近年、M&Aアドバイザー業務にも注力しています。また、一般的な銀行をはじめ、投資銀行や投資ファンドなども含まれます。
M&Aにおける法律事務所には、節税対策や各種法務手続きをサポートする役割があります。中小企業のM&Aでは、税理士法人が法律事務所の役割を果たすケースが多く見られます。
M&Aではデューデリジェンスと呼ばれる監査があります。これは、買い手企業が売り手企業に対して行なうリスクの調査のことです。「会計は健全に行われているか」、「財務内容にリスクはないか」等の調査を行ないます。これらの調査を行うのが、会計事務所や法律事務所といった「監査法人」です。
事業再編や後継者不足、シナジー効果の発揮などさまざまなメリットを持つM&A。そんなM&Aは特にどのような業界で取り入れられているのか、その特徴と動向をまとめました。
IT技術は、今や生活になくてはならないものです。成長著しい業界である反面、経済産業省の調査によると、特にDX推進人材やAI人材の不足が日本企業の多くで懸念されています。そのため、M&Aは、IT業界の人材不足を解消する手段として注目されています。近年では個人Webサイトを有志へ譲渡する「サイトM&A」にも注目が集まっています。
教育業界では、主に中小規模の学習塾・予備校のM&Aが活発なのが特徴です。これらの業界は少子化の影響と教育費増加といった影響を受け、大手学習塾などと比較すると厳しい状況に立たされています。動画学習事業などの新事業参入も手伝って、教育業界は今後も競争が激化すると予想されており、こうした状況に対抗するため、中小規模の教育関連企業がM&Aを実施する例が増加しているのです。
介護業界は、社会の高齢化に伴い更なる成長が期待されている業界です。厚生労働省の発表によると、現在約1,500万人の後期高齢者人口が、2025年には約2,200万人に膨れ上がると報告されています。そんな「2025年問題」を見据えた介護業界では、異業種が新規参入してM&Aを行うケースのほか、医療法人とのM&Aで既存サービスの質の向上を狙うケースがみられます。
医療費削減政策を受け、収益が減少している調剤薬局業界。さらに、薬剤師の不足や個人経営の調剤薬局の後継者不足も問題視されています。M&Aは、後継者不足や収益源を打破できる手段として調剤薬局業界でも注目されているのです。
少子化による人口減の影響を受け新築・賃貸・不動産管理ともに縮小が懸念されているのが不動産業界です。M&Aを通して業績改善を狙ったり大手企業の傘下へ入ることでブランド戦略を強化したりと、不動産業の厳しい状況に対抗するM&Aが注目されています。
美容業界や理容業界は、店舗拡大を狙う地方企業によるM&A事例が目立つ業界です。くわえて異業種参入のM&A事例も多く、とくに「買い手企業が異業種」というケースがよくみられます。一方の化粧品業界では、製品開発競争の激化を受け、競合との差別化やブランド力の強化を狙ったM&A事例が増加しています。
慢性的な人材不足を抱える企業が多い中、人材業界のM&Aはさらに活発化すると予想されます。人材業は他業種と比べると資産の多くが現金であり、把握しやすいです。更に業界の特徴として譲受のニーズが高いため、大手人材企業が資産を活かし、異業種企業を買い取って子会社化するケースもよく見られます。
Web広告の発展を受けて、IT分野の強化が大きな課題となっている広告業界です。海外展開を進める企業も多くみられます。こうした状況を受けて、今後の広告業界はデジタル化・グローバル化を目的としたM&A事例が増えると予想されています。
都市ガス販売や電力販売など、規制緩和が進んでいるエネルギー業界は、オール電化や都市ガスへ乗り換えるユーザーが増えたことで、LPガスの市場は縮小が見込まれており、この市場縮小への対策として、M&Aを活用する企業が増加しています。くわえて太陽光発電の分野では、法改正によってメンテナンスをしない企業の存続が不可能となったため、太陽光発電設備のメンテナンス事業や運用事業を持つ企業が、M&Aによって買い取られるというケースも増加しています。
食品業界は、人口減によるニーズの減少をはじめ、健康意識の高まりやニーズの多様化といった課題を抱えています。こうした課題を解消すべく、ブランド力の強化や海外販路の確保を目的としたM&A事例が増加しているのが特徴です。例えば、人気の米菓で知られる亀田製菓は、健康志向食品のニーズが高まっていることを受け、グルテンフリー食品の製造販売をしているマイセンファインフードを子会社化しています。(参照:成約実績詳細)
M&Aには、法務や税務など様々なジャンルの知識が必要です。売り手企業と買い手企業だけで手続きを完遂させるのは難しいでしょう。スムーズかつ適正にM&Aを進めるためには、M&Aの専門会社を通すのが得策です。
レコフは1987年に創業し、国内M&A会社の草分け的存在として活動してきました。レコフの強みは、豊富な相談・成約実績にあります。国内にある上場企業の9割以上と接触しており、未上場企業を含めると、20,000社以上の企業とのリレーションがございます。この独自のネットワークはM&Aの買い手企業選定時や提案時に役立てています。上場企業に対する提案や助言の経験を、中小企業の事業承継にも活かしているのもレコフの強みです。
さらに財務や法務、会計など各分野に精通したCFDという専門メンバーが在籍しております。案件ごとに専属チームを配置した上で、よりスムーズかつ安全に案件が進むようサポートいたします。M&Aをご検討中の方、M&Aアドバイザーをお探しの方は、ぜひ一度レコフまでご相談ください。
監修者プロフィール
株式会社レコフ リサーチ部 部長
澤田 英之(さわだ ひでゆき)
金融機関系研究所等で調査業務に従事後、政府系金融機関の融資担当を経て2005年レコフ入社。各業界におけるM&A動向の調査やこれに基づくレポート執筆などを担当。平成19年度農林水産省補助事業、食品企業財務動向調査委員、平成19年度内閣府経済社会総合研究所M&A究会 小研究会委員。著書・論文は「食品企業 飛躍の鍵 -グローバル化への挑戦-」(共著、株式会社ぎょうせい、2012年)、「データから見るIN-OUTの動向 -M&Aを通じた企業のグローバル化対応-」(証券アナリストジャーナル 2013年4月号、公益社団法人 日本証券アナリスト協会)など。
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