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居酒屋のM&A動向

業界別M&A

2026.03.23更新日:2026.03.23

近年、居酒屋業界には宴会需要の低下や飲酒習慣の減少といった課題があり、課題解決などを目的としたM&Aの動きが活発化しています。居酒屋のM&Aを実施する際は、業界の現状・課題やM&A動向を把握しておくことが重要になります。

居酒屋のM&Aを成功させたい方に向けて、居酒屋業界のM&A動向や立場別のメリット、M&Aの主な事例などを解説します。居酒屋M&Aでおすすめの相談先も紹介しますので、ぜひご覧ください。

目次
 
 

居酒屋とは?

居酒屋とは、お酒と料理を提供する日本式の酒場のことです。

居酒屋は繁華街や駅周辺など人通りが多いエリアに立地することが多く、特に立地条件の良いエリアには大手チェーンの店舗が立ち並びます。一方、繫華街の裏路地や住宅街にある居酒屋は個人経営のお店が多い傾向にあります。

居酒屋はお店によって店舗形態・コンセプトに違いがあり、昔ながらの大衆的な居酒屋や立ち飲み式のお店、特定の料理を提供するお店など多岐にわたります。

居酒屋と同じようにお酒を提供するお店には「バー」もあります。バーは居酒屋よりもお酒の提供をメインとしていて、料理の提供は優先順位が低いことが特徴です。

また、バーテンダーがお客様の目の前でお酒を作るという点も、バーと居酒屋の違いと言えます。

居酒屋業界を取り巻く現状と課題

経済産業省によると、第3次産業活動指数の「パブレストラン・居酒屋」指数は2007年をピークに低下傾向にあります。

(出典:経済産業省「居酒屋の低迷の要因は?」/
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20230908hitokoto.html

2025年単体で見ても、第2四半期は低下に転じています。

(出典:経済産業省「飲食関連産業の動向(FBI 2025年上期)」/
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/archive/kako/20260210_1.html

居酒屋の市場動向が低迷している理由は、近年の居酒屋業界に様々な変化が起きているためです。

居酒屋業界を取り巻く現状と課題を解説します。

宴会需要の低下

近年、若者のグループや企業・組織が大人数の宴会をする頻度が減少傾向にあることで、宴会需要が低下しています。宴会は居酒屋にとって大きな収入源であり、宴会需要の低下は売上低下に繋がる課題です。

また、社会情勢による団体客の急な予約キャンセルや、外食費を抑えられる家飲みの流行も、宴会需要に繋がる要因となっています。居酒屋経営者は、団体向けサービスの強化や予約キャンセル対策の実施、居酒屋利用の魅力発信などの経営努力を重ねる必要があるでしょう。

飲酒習慣の減少

飲酒習慣そのものが減少していることも、居酒屋の売上低下に影響する課題です。

経済産業省によると、飲酒習慣がある人の割合は、2019年時点で男性が33.9%、女性が8.8%でした。2003年時点の割合は男性が42.9%、女性が9.3%であり、近年は飲酒習慣がある人が減っていることが分かります。

なお、飲酒習慣がある人とは、週に3日以上飲酒して、日本酒換算で飲酒日1日あたり1合以上飲む人のことです。

(出典:経済産業省「居酒屋の低迷の要因は?」/
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20230908hitokoto.html

また、日本の人口は今後減少する見込みであり、飲酒習慣がある人は将来的にさらに減少する可能性があります。居酒屋経営者は飲酒習慣の減少を理解した上で、居酒屋の利用機会増加に向けた対策を行うことが求められます。

他業態による居酒屋部門の進出

近年はレストランやラーメン店のほか、飲食店営業許可を取得したカフェでもお酒を提供する文化が生まれました。他業態による居酒屋部門の進出により、居酒屋の利用機会がさらに減少するおそれがあるでしょう。

お酒は一般的に嗜好品であり、お客様に制限なく購入してもらえるわけではありません。お酒の提供をメインに据えている居酒屋にとって、サブメニューとしてのお酒提供を行う他業態のお店は強力な競合相手となります。

居酒屋におけるM&Aの最新動向

居酒屋業界では、多くの課題解決や競争力強化に向けたM&Aが活発に行われています。

M&A動向としては、飲食部門と関係のない他業種によるM&Aではなく、居酒屋同士の同業種M&Aや、飲食店業界の他業態による居酒屋M&Aが多い傾向です。

居酒屋業界で行われている主なM&Aのケースを2つ紹介します。

●居酒屋同士のM&A

 

居酒屋同士のM&Aは、宴会需要や飲酒習慣の減少による影響を受けている居酒屋業界において、市場競争力を高めることを目的として行われています。

同業種M&Aは営業エリアの拡大や提供メニューの共同開発、顧客情報の共有や相互送客を実現できる点がメリットです。大手・中堅チェーンによるM&Aだけでなく、小規模店同士のM&Aも行われています。

●飲食店業界における他業態による居酒屋M&A

飲食店業界における他業態による居酒屋M&Aでは、レストランなどの外食事業を展開する企業が居酒屋店を買収するケースが多くみられます。

他業態の企業は居酒屋の買収によって、居酒屋部門の進出を図ることができます。飲食業界そのものの競争が激化しているため、居酒屋部門の取得によって競合との差別化を図ることが目的です。

居酒屋M&Aの主なスキーム

居酒屋のM&Aで主に用いられるスキームとしては、「株式譲渡」と「事業譲渡」の2つが挙げられます。

●株式譲渡とは

株式譲渡とは、譲渡側が発行する株式の50%超~100%を譲受側に譲渡し、経営権を引き渡すM&Aスキームです。株式譲渡を行った譲渡側の企業は、譲受側企業の子会社となります。

株式譲渡を行うと、譲渡側が保有していたすべての権利義務が譲受側へと引き継がれるため、M&Aの手続きは比較的シンプルに済むことが特徴です。

居酒屋のM&Aでは、大手チェーン店が営業エリアや事業の拡大を目的として小規模店の買収を行う際に、小規模店を子会社化する株式譲渡が用いられています。

●事業譲渡とは

事業譲渡とは、譲渡側が所有している事業の一部もしくは全部を譲受側へと譲渡し、譲渡対価として現金を得るM&Aスキームです。

事業譲渡を行う場合、譲渡側が保有する事業資産のすべてがそのまま譲受側へと引き継がれるわけではありません。資産・負債や取引先との契約、従業員の雇用などを引き継ぐかどうかを譲渡側と譲受側で交渉する必要があります。

居酒屋のM&Aでは、経営者の引退に伴って居酒屋事業から撤退する場合などに、居酒屋事業を第三者に引き継いでもらう手法として事業譲渡が選択されています。

【居酒屋】M&Aによる「譲渡(売り手)側」のメリット

居酒屋M&Aによるメリットは譲渡側と譲受側で異なります。居酒屋事業や会社そのものを売却する譲渡側は、現在抱えている課題がM&Aで解決できるかを検討する必要があります。

M&Aによる譲渡側のメリットを4つ挙げて、どのような課題が解決できるのかご説明します。

譲受側企業のブランドを利用できる

株式譲渡で子会社化した譲渡側企業は、親会社である譲受側企業のブランドを利用できます。「現在の経営スタイルでは集客力を上げられない」「事業成長のためのブランド力が足りない」というときに効果的なメリットです。

特に大手チェーングループなどの有名企業の傘下に入ると、全国的な知名度を持つブランド力を使って居酒屋経営ができるようになります。スケールメリットを活かして仕入れコストを削減したり、集客性の安定によって売上向上を目指したりすることが可能です。

廃業を避けられる

居酒屋経営では、売上の低迷による経営難や、後継者不足によって廃業するケースが少なくありませんが、株式譲渡や事業譲渡によって、居酒屋の廃業を避けられます。

居酒屋の廃業を選択した場合、負債の返済や従業員への退職金支払いなどの経済的負担が発生するリスクがあります。廃業を避けられるM&Aは、経済的負担を回避できるとともに、従業員の雇用も維持できる方法です。

譲渡益を獲得できる

居酒屋M&Aの譲渡側は、事業や会社を売却する対価として譲渡益を獲得できます。獲得した譲渡益を活用することで、新しい生き方の実現や課題解決が可能です。

株式譲渡の場合、譲渡益を獲得できるのは株主である経営者です。経営者は獲得した譲渡益によって別事業を開始できたり、セミリタイアを実現できます。

事業譲渡の場合は、譲渡益の受取人は譲渡側企業です。譲渡側企業は譲渡益を活用して、経営状態の改善や他事業の基盤強化が行えるでしょう。

個人保証・担保から解放される

居酒屋は参入障壁が比較的低く、金融機関からの融資を受けて開業する個人が多い傾向にあります。個人が融資を受ける場合は信用力を高めるために、個人保証や担保を設定するケースも少なくありません。

M&Aで事業・会社を売却する際、譲受側に負債や権利を引き継いでもらえれば、融資時に設定した個人保証・担保から解放されます。

【居酒屋】M&Aによる「譲受(買い手)側」のメリット

居酒屋M&Aにおいて譲受側は、現金などの対価を支払って事業や会社を買収します。M&Aで支払うコストに対し、自社が展開する居酒屋事業へのメリットが十分であるかを検討することが大切です。

M&Aによる譲受側のメリットと、メリットによって得られる居酒屋事業への効果を解説します。

競争力・ブランド力の強化につながる

居酒屋M&Aの譲受側は、譲渡側が持っていた店舗や提供メニュー・コンセプトを手に入れることができます。自社の居酒屋事業を成長させるきっかけとなって、競争力・ブランド力の強化につながる点がメリットです。

特に居酒屋同士の同業種M&Aでは、譲受側は既存事業とのシナジー効果が見込めます。提供メニューや客層の違いでPR手法を分ける、キャンペーンで相互送客を図る、などの方法で売上を伸ばすことができるでしょう。

事業エリアを効率良く拡大させられる

居酒屋M&Aは譲渡側の子会社化や事業の引き継ぎができ、譲受側は事業エリアを効率良く拡大できます。

居酒屋経営で事業エリアを拡大させる場合、新規出店する方法では進出エリアの居酒屋需要や競合を調査して、立地条件の良い土地に建物を構えなければなりません。営業に必要な人材も雇用する必要があり、時間とコストがかかります。

対して、M&Aでは譲渡側の店舗をそのまま利用できるため、新規出店に伴う時間・コストを大幅に節約することが可能です。スムーズな出店によってエリアのシェア獲得を目指せます。

居酒屋経営のノウハウを獲得できる

居酒屋経営の実績がない他業態・他業種が居酒屋事業に参入する際、居酒屋経営のノウハウをどのように獲得するかが課題になります。

居酒屋M&Aを行えば譲渡側の持つノウハウを吸収でき、居酒屋事業の新規参入が成功しやすくなります。

居酒屋経営のノウハウを獲得するためには、譲渡側が作成した経営・業務のマニュアルや、優秀な人材の獲得を目指すことが重要です。M&A交渉時に、マニュアルの有無や人材の雇用継続ができるかを確認しましょう。

居酒屋における主なM&A事例3選

居酒屋のM&Aを成功させるためには、居酒屋M&Aの事例を参考にすることもおすすめです。

居酒屋M&Aは多くの事例があり、譲受側・譲渡側それぞれの規模・業種や関係性も事例ごとに違いがあります。事例を参考に、自社のM&Aをどのように行うべきかを考えると良いでしょう。

居酒屋M&Aの主な事例を3つご紹介します。

株式会社海帆×株式会社BOBSおよび株式会社ワイデン

株式会社海帆は2024年7月、株式会社BOBSおよび株式会社ワイデンと株式交換契約を締結し、完全子会社化することを発表しました。

譲渡(売り手)側 株式会社BOBS、株式会社ワイデン
譲受(買い手)側 株式会社海帆
M&Aの目的
  • ヘルスケア事業への参入
  • 医療分野を専門とする集客業務支援の充実
M&Aのスキーム 株式交換

株式会社海帆は居酒屋を主軸とする飲食事業を展開していたものの、コロナ禍の影響により事業全体の構造改革を進めています。

株式会社BOBSおよび株式会社ワイデンは、医療機関の経営やコンサルティングなどを行う企業です。

株式会社海帆は事業構造改革の一環としてヘルスケア事業への参入を検討しており、2社とのM&Aによって美容医療関連事業の拡大を目指しています。

株式会社鳥貴族ホールディングス×ダイキチシステム株式会社

株式会社鳥貴族ホールディングスは2023年1月、ダイキチシステム株式会社の全株式を取得して子会社化しました。

譲渡(売り手)側 ダイキチシステム株式会社
譲受(買い手)側 株式会社鳥貴族ホールディングス
M&Aの目的
  • 小~中商圏での店舗数確保
  • 両社のフランチャイズノウハウや独立制度の活用による事業拡大
M&Aのスキーム 株式譲渡

株式会社鳥貴族ホールディングスとダイキチシステム株式会社は、どちらも焼き鳥を主力商品とする飲食店です。

株式会社鳥貴族ホールディングスは本M&Aにより、ダイキチシステム株式会社が保有する小~中商圏での店舗数を確保でき、さらにシナジー効果も追求できるとしています。

株式会社ダイナックホールディングス×RESTAURANT SUNTORY U.S.A.,INC

株式会社ダイナックホールディングスは2019年12月、RESTAURANT SUNTORY U.S.A.,INCの株式を取得し、子会社化することを発表しました。

譲渡(売り手)側 RESTAURANT SUNTORY U.S.A.,INC
譲受(買い手)側 株式会社ダイナックホールディングス
M&Aの目的
  • オペレーション力の向上と事業基盤の安定・強化
  • 飲食事業の運営におけるシナジー効果の創出
M&Aのスキーム 株式譲渡

株式会社ダイナックホールディングスは、居酒屋・バー・パブレストランなどの飲食事業を展開する企業です。

一方のRESTAURANT SUNTORY U.S.A.,INCは、ハワイ・ワイキキで「燦鳥」というレストランを経営する高級和食店です。

株式会社ダイナックホールディングスは本M&Aにより、自社飲食事業とのシナジーや、燦鳥のオペレーション力強化・事業基盤強化などを目指しています。

居酒屋M&Aを実施する際のおすすめの相談先3つ

居酒屋M&Aを成功させるためには、M&A先の候補探しや条件交渉、契約締結などを段取り良く進めることが大切です。

独力でM&Aを行おうとすると失敗するリスクがあるため、信頼できる相談先の協力を仰ぎましょう。

最後に、居酒屋M&Aを実施する際のおすすめの相談先を3つ紹介します。

M&Aアドバイザー

M&AアドバイザーはM&Aの助言を専業としており、M&Aに関する専門知識やノウハウを備えているため、居酒屋M&Aの相談先として最もおすすめです。

ただし、M&Aアドバイザーは数が多く、どの会社を選んでも居酒屋M&Aの最適な助言をしてくれるとは限りません。M&A実績が豊富であり、居酒屋業界にも詳しいM&Aアドバイザーを選びましょう。

M&Aマッチングサイト

M&Aマッチングサイトは、M&Aを行いたい譲渡側企業と譲受側企業のマッチングを行うサービスです。Webサイト上にM&Aを行いたい企業の情報が登録されており、譲渡側企業・譲受側企業のそれぞれが自社の希望条件に合うM&A候補を探せます。

M&AマッチングサイトはM&A候補の情報が豊富である一方、提供するサービスがマッチングのみで、仲介などは行っていないケースもある点に注意してください。

地元の金融機関または公的機関

地元の金融機関または公的機関は、地域の企業との強いコネクションがある相談先です。特に取引のある金融機関は自社の事情に詳しく、M&Aの相談をしやすいメリットがあります。

ただし、地元の金融機関や公的機関にM&Aの相談をしても、提携している専門家が紹介されることがほとんどです。M&Aについて専門家の協力を得たい場合は、初めからM&Aアドバイザーのような専門家に相談した方が良いでしょう。

まとめ

近年の居酒屋業界を取り巻く課題には、宴会需要の低下や飲酒習慣の減少、他業態の新規参入があります。居酒屋が生き残るには集客力の向上や競争力強化が必要であり、対応策の1つとしてM&Aも活発に行われている状況です。

居酒屋M&Aを実施する際は、豊富な知識を持ってサポートしてくれるM&Aアドバイザーへの相談がおすすめです。

株式会社レコフはM&Aの提案から案件完了まで、一貫したサービスを提供しています。居酒屋M&Aを検討している方は、ぜひ株式会社レコフにご相談ください。

監修者プロフィール

株式会社レコフ リサーチ部 部長

澤田 英之(さわだ ひでゆき)

金融機関系研究所等で調査業務に従事後、政府系金融機関の融資担当を経て2005年レコフ入社。各業界におけるM&A動向の調査やこれに基づくレポート執筆などを担当。平成19年度農林水産省補助事業、食品企業財務動向調査委員、平成19年度内閣府経済社会総合研究所M&A究会 小研究会委員。著書・論文は「食品企業 飛躍の鍵 -グローバル化への挑戦-」(共著、株式会社ぎょうせい、2012年)、「データから見るIN-OUTの動向 -M&Aを通じた企業のグローバル化対応-」(証券アナリストジャーナル 2013年4月号、公益社団法人 日本証券アナリスト協会)など。

 
 
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