石川県のM&A・経済近況
総人口は1985年をピークに、今後も人口減少が続くとみられています。農林水産業は全国平均以上であり、特に漁業の集積と優位性が見られます。また産業集積の観点から、繊維工業、生産用機械器具製造業、電子部品などエレクトロニクス産業の重要度が高くなっています。
石川県のM&A事例
石川県のM&A件数 – 2022年
2022年の石川県のM&A件数は30件と過去最高でした。
内訳(買手-売手)は、地域内-地域内 7件、地域内-地域外 12件、地域外-地域内 11件 でした。
M&Aトピックス
石川県の企業が買い手となった特徴的なM&A案件を、年度別にピックアップしてご紹介します。
2018年
たくみやホールディングス/笹屋昌園
観光土産菓子製造販売卸のたくみや(石川県小松市)を傘下に持つたくみやホールディングス(金沢市)は、老舗和菓子屋の笹屋昌園(京都市)を買収しました。同社は1918年創業。たくみやHDはみつばち産品専門店のみつばちの詩工房(金沢市)も買収しており、事業を拡大させています。
日成ビルド工業/アーバン・スタッフ
日成ビルド工業は、建築・土木工事業のアーバン・スタッフ(宇都宮市)を買収しました。同社は2001年設立、売上高16億9500万円。遊休不動産の有効活用に取り組むソリューション展開力を活かし、栃木県を中心に建設業を展開しています。太陽光発電事業分野にも進出し、同発電設備工事業を展開するとともに、30カ所超の太陽光発電設備を有しています。日成ビルド工業は太陽光発電事業分野に参画。グループ商品・サービスの幅の広がりやソリューション提案力の深みを増すとともに、ストック型ビジネスの拡大を促進させるとのことです。
日海不二サッシ/アジアニッカイ
は、子会社でアルミサッシ製造、販売の日海不二サッシ(金沢市)を通じて、アルミサッシ加工・組立のアジアニッカイ(同)を買収しました。同社は売上高10億円、従業員26人。石川県内の官公庁を中心にビル用建材の営業活動を展開するほか、日海不二サッシの協力工場としてアルミサッシの加工・組立を行います。日海不二サッシは北陸地区を営業エリアとしてビル用・住宅用建材の販売、グループの生産拠点としてアルミサッシの加工・組立を行っており、不二サッシグループは北陸地区での地域戦略の強化、顧客基盤の拡大につなげるとのことです。
2017年
石川製作所/関東航空計器
石川製作所は、伊藤忠商事の孫会社で電子機器製造の関東航空計器(神奈川県藤沢市)を買収しました。同じく全額出資子会社の日本エアロスペース(東京)などから4億7200万円で全株式を取得します。関東航空計器は売上高41億5800万円。航空自衛隊の主要な航空機に搭載するFDR(フライトデータレコーダー)を始めとする搭載電子機器を防衛用航空機・艦船・車両向けに製造販売しています。石川製作所は機雷、地雷などの待受型迎撃装備を中心とした防衛機器などを製造販売しており、航空自衛隊への納入実績は薄いですが、両社の強みを活かし、顧客面、技術・商品面両面から事業拡大を目指します。
丸井織物/倉庫精練
スポーツウェア用織物生産などの丸井織物(石川県中能登町)は、東証2部上場で化繊、合繊織物染色加工の倉庫精練をTOBにより買収します。同社は東証の時価総額基準に抵触したことから、2018年4月末までを期限とする上場廃止の猶予銘柄となっています。丸井織物は織り工程から染め工程までの一貫生産体制を構築し、収益基盤を強化します。倉庫精練は停滞の続くメキシコ事業から撤退し、経営資源を国内に集中させます。
小松精練/セイホウ
小松精練は、健康関連素材企画、製造販売のセイホウ(栃木県足利市)を買収しました。同社は売上高3400万円、従業員15人。メディカル分野を中心とした特殊生地の製造ノウハウに優れており、独自特許技術をコアとし差別化された腰椎ベルトなどを商品群に持ちます。小松製錬はメディカル分野での事業拡大と顧客基盤の拡大強化を図ります。セイホウの独自技術・差別化された商品群と自社の高次加工技術の融合を図ることで新製品の開発を目指すとのことです。
2016年
スギヨ/マルタ食品
水産練製品加工販売のスギヨ(石川県七尾市)は、水産珍味加工メーカーのマルタ食品(新潟市)を10月27日付で買収すしました。同社は売上高60億円、従業員370人。「数の子わさび」や「にしん酢漬」といった水産珍味を主力商品としています。スギヨは水産練り物(ちくわ、カニカマなど)を得意としており、グループ全体の商圏拡大を見込んでいます。互いの商品開発・加工ノウハウ、物流・工場施設などのインフラ、営業拠点などを有効活用することで、主力商品の競争力強化と販売サービスの充実を図るとのことです。
ウイルコホーディングス/ウィズコーポレーション
ウイルコホーディングスは、音の出る絵本、教育玩具、付録・販促用景品など企画、制作、販売のウィズコーポレーション(東京)を買収しました。伊東治行社長から7億5000万円で全株式を取得します。アドバイザリー費用等を含めると7億9550万円。同社は売上高約33億9200万円。ウイルコHDは情報・印刷事業とメディア事業を中心に事業展開しています。音の出る絵本とポップアップの技術の組み合わせで視覚と聴覚に訴えかける新しい絵本を展開するなど、多様なシナジーを創出し、互いの事業領域の拡大でグループの売上、利益の向上を実現するとのことです。
日成ビルド工業/コマツハウス
日成ビルド工業は、コマツの子会社でプレハブハウス、ユニットハウス製造・販売・レンタル、総合建築工事設計・施工・請負のコマツハウス(東京)を買収しました。コマツハウスは売上高163億7600万円、従業員243人。大手ゼネコンに対して多数の取引実績を有し、現場事務所や作業員向け宿舎の建築工事に強みを持っています。売上高に占めるレンタル事業の比率が高く安定した収益基盤を有しています。日成ビルド工業は、両社の販売チャネルや商品・サービスを相互に活用することで、互いの受注機会の拡大が見込めると判断したとのことです。
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