福島県のM&A・経済近況
総人口は平成7年にピークを迎え、以降減少し平成30年には186万5千人となっています。福島県は岩手県や宮城県と異なり東日本大震災に伴う、原発事故によって人口減少、風評被害等により経済が下押しされていました。2017年には帰還困難区域を除いた11の自治体への面的除染が終了したものの住民帰還は思うように進んでいません。また復興需要がピークを越えたことで持ち直しの動きは緩やかになっています。
福島県のM&A事例
福島県のM&A件数 – 2022年
2022年の福島県のM&A件数は26件でした。
内訳(買手-売手)は、地域内-地域内 3件、地域内-地域外 4件、地域外-地域内 19件 でした。
M&Aトピックス
福島県の企業が買い手となった特徴的なM&A案件を、年度別にピックアップしてご紹介します。
2018年
内藤工業所/シーム
空気調和・衛生設備工事の内藤工業所(福島県郡山市)が、精密クーラントろ過システム開発・販売のシーム(東京)を買収しました。内藤工業所は2年前からダクト専門から総合設備会社への転換を目指し、準備を進めており、新たな展開を図ります。同社は社名を「濾過精工」に変更します。シームは従業員7人。工作機械などで用いられた加工液に混入するスラッジ(磁性体・非磁性体)を立体濾紙で捕集・除去する「精密クーラントろ過システム」によって「見えるろ過」を実現しており、国内大手メーカーなどに納入実績を持ちます。内藤工業所は2年前からダクト専門から総合設備会社への転換を目指し、準備を進めてきており、新たな展開を図るとのことです。
ゼビオホールディングス/パステル、鶴和
東証1部上場のゼビオホールディングス(福島県郡山市)が、民事再生手続き中でバラエティグッズ販売のパステル(同)、バラエティグッズ卸売の鶴和(同)の2社とスポンサー契約を締結し、買収しました。2社は売上高約29億7400万円、約15億8200万円。商業施設内に店舗展開し、児童から成人女性向けにアクセサリー、ファンシー文具などを取り扱っています。2社の事業の維持・発展を全面的に支援するとのことです。
太平洋ブリーディング/ユキザワ
プリマハムは、全額出資子会社で肉豚生産、販売などの太平洋ブリーディング(POB、福島県富岡町)を通じて、同業のユキザワ(秋田県大館市)を買収しました。伊藤忠商事の子会社で配合飼料製造、販売の伊藤忠飼料(東京)から10億800万円で全株式を取得。ヤキザワは売上高19億600万円。プリマハムは以前にPOBを通じて、同業の肉質研究牧場(鹿児島県志布志市)、かみふらの牧場(北海道上富良野町)に追加出資し、それぞれ24.99%、24.81%から49.83%、48.98%に高めたほか、4月に肉豚加工販売のジャパンミート(宮崎県都城市)を買収していました。プリマハムグループの肉豚出荷規模は27万頭から42万頭に拡大。養豚事業の一元化、増頭により自社処理加工場への肉豚供給の定時、定量、定質を図るとのことです。
2017年
こころネット/玉橋
ジャスダック上場のこころネット(福島市)が、葬祭事業などの玉橋(福島県本宮市)を買収しました。代表取締役ら2人から全株式を取得し、グループ葬祭事業の営業エリアの拡大とシナジー効果を図るとのことです。
ボーキ佐藤/鹿島酒類販売
食料品卸のボーキ佐藤(福島県郡山市)が、酒類、食料品仕入、販売、小売の鹿島酒類販売(茨城県鹿嶋市)を買収しました。同社は売上高見込み83億円規模で、2000年から焼酎・眞露の全国特約店となっています。ボーキ佐藤は北関東地区での酒類の販売基盤強化を図り、グループとして両社のシナジー効果を発揮させるとのことです。
2016年
ダイユーエイト/リックコーポレーション
東証1部上場のホームセンターで福島県地盤のダイユーエイト(福島市)と岡山県地盤でジャスダック上場のリックコーポレーション(岡山市)が、株式移転により9月に共同持株会社「ダイユー・リックホールディングス」を設立し、経営統合しました。両社はそれぞれ上場廃止し、持株会社が新規上場します。ダイユーエイトの浅倉俊一社長が代表取締役、リックコーポレーションの川西良治社長が専務取締役に就任。売上高見込みの合計は約800億円で業界10位前後になる見通しです。両社は2009年に株式を持ち合い、ホームセンター事業で商品の共同開発、共同調達などを行っていたほか、リックコーポレーションが展開するペット事業についても両社で全国展開を進めていました。提携・協力関係を前進させ、事業規模の拡大を図ります。ペット事業は統合・分社化、経営基盤を強化し、生き残りを目指すとのことです。
福活ファンド/とことん
福島銀行が出資し、一般社団法人MAKOTO(仙台市)が運営する福活ファンド投資事業有限責任組合(福島市)は、画像処理サービスのとことん(横浜市)に資本参加しました。同社は国内外に向けて本格的な事業展開を目指します。同社は2012年設立。インターネット上でクラウド型「全自動画像処理サービス」を提供しています。福活ファンドは「倒産等の経験を持つ起業家の再チャレンジ支援」に特化したファンドでこれが1号投資案件となります。
幸楽苑ホールディングス/花春酒造
東証1部上場の幸楽苑ホールディングス(福島県郡山市)の社長らは、設立した「花春酒造」(同県会津若松市)を通じて、老舗酒造の花春酒造(同)から事業を会社分割により譲り受けました。花春酒造は1718年創業。原発事故に伴う風評もあり経営が悪化し、債務超過に陥っていました。
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