山形県のM&A・経済近況
総人口は昭和35年以降一貫して減少し、平成29年には110万1千人となっています。地形や気候風土に恵まれ農林業が主軸でしたが、1970年以降高度経済成長期に大規模な工業団地が形成されると、製造業が山形をリードし、なめし皮・同製品・毛皮製造業、電子部品・デバイス、情報通信機械器具製造業の重要性が高い県です。
山形県のM&A件数 – 2022年
2022年の山形県のM&A件数は17件でした。
内訳(買手-売手)は、地域内-地域内 3件、地域内-地域外 3件、地域外-地域内 11件 でした。
M&Aトピックス
山形県の企業が買い手となった特徴的なM&A案件を、年度別にピックアップしてご紹介します。
2018年
やまがた地域成長ファンドII号/フューチャーインク
山形銀行が出資し、やまぎんキャピタル(山形市)と野村リサーチ・アンド・アドバイザリー(東京)が共同運営するやまがた地域成長ファンドII号(山形市)は、山形大学発ベンチャーで銀ナノ粒子インクなど開発のフューチャーインク(山形県米沢市)に資本参加しました。同社は2016年4月設立。プリンテッドデバイス技術により、薄膜化(薄さ0.5ミリメートル)した別途センサーを開発。ベット下でバイタル情報(心拍、呼吸)を計測し、異常時を通知するアラーム能を装備しています。山形銀行のマッチングにより県内の介護関連事業者とも開発・販売の展開を図るとのことです。
スパイバー/シンプロジェン
新世代バイオ素材開発ベンチャーのスパイバー(山形県鶴岡市)は、神戸大学発ベンチャーでゲノム合成技術研究開発のシンプロジェン(神戸市)に資本参加しました。1億円の第三者割当増資を引き受け、スパイバーの菅原潤一執行役員が代表取締役に就き、村瀬祥子代表取締役はシンプロジェンのサイエンティフィック・アドバイザリー・ボードメンバーに就任しました。シンプロジェンは2017年2月設立。医療やバイオインダストリー分野で必要な長鎖DNAを従来よりも短時間に合成する技術を有しています。資金調達によりスパイバーと戦略的パートナーシップを締結し、研究開発、DNA合成事業の加速を図るとのことです。
あさひ会計/三澤経営センター
税理士法人あさひ会計(山形市)は、会計事務所の三澤経営センター(仙台市)と経営統合しました。公認会計士7人、税理士15人(公認会計士5人が保有する税理士資格を含む)、中小企業診断士2人、社会保険労務士3人、行政書士2人を含む所員総員数は130人となり、東北最大級の会計事務所が誕生します。会計・税務の分野のほか事業承継、M&A、組織再編、財務デューデリジェンス、事業再生などについても充実した支援を実施できる体制となるとのことです。
2017年
荘銀あぐり応援ファンド/エヌシップ
荘内銀行(山形県鶴岡市)が出資し、フィデアキャピタル(山形市)が運営する荘銀あぐり応援ファンド(同)は、各種野菜栽培・販売のエヌシップ(山形県金山町)に資本参加しました。同社は夏場はズッキーニ、ネギ、冬場はキャベツなど、年間を通じて各種野菜を栽培するスーパーマーケットチェーンを通じて全国販売するほか、産直市場などにも納入・販売しています。経営規模拡大を目指し、調達資金を設備資金に充てます。同組合の第2号案件となります。
荘銀あぐり応援ファンド/ワーコム農業研究所
同じく荘銀あぐり応援ファンド(同)が、堆肥発酵促進剤製造・販売などのワーコム農業研究所(同県真室川町)に資本参加しました。同社は堆肥発酵促進剤の製造・販売、黒毛和牛の飼育・販売を中心に、農産物の生産・販売にも取り組んでいます。調達資金を新商品の研究開発促進や繁殖牛の増頭、設備の拡充などに充て、対外信用力の強化を図り、経営規模の拡大を目指すとのことです。同組合の第3号案件となります。
エヌ・デーソフトウェア/アルファフーズ
東証2部上場で介護・福祉分野に特化したソフトウェア開発のエヌ・デーソフトウェア(山形県南陽市)が、UAA(ウルトラアンチエイジング)食品(防災食品、カロリーコントロール食)製造販売のアルファフーズ(東京)を社長らから全株式を取得し買収しました。同社の企画力を強みに、自社の販売網と有機的に結合できれば、シナジー効果が期待できると判断し、「美味しさ」と「健康」にこだわった保存食の企画製造、販売を行うとのことです。
2016年
オートバックス山形/ビッグ東北、オートバックス米沢店
オートバックスセブンは、全額出資子会社でカー用品小売のオートバックス山形(山形市)を通じて、オートバックスセブンのフランチャイズチェーン加盟店であるビッグ東北(福島県郡山市)から「オートバックス米沢店」(山形県米沢市)を譲り受けます。オートバックスグループは山形エリアの店舗経営体制を最適化し、エリア内の競争力を強化。経営の効率化を図ります。
ロイヤルネットワーク/新・ほくしん
「うさちゃんクリーニング」を展開するクリーニング大手のロイヤルネットワーク(山形県酒田市)は、同業のほくしん(東京都国立市)が工場や土地建物、金融機関からの借り入れを除く事業を会社分割して設立する新・ほくしん(同)を買収しました。現・ほくしんは売上高7億円、従業員235人。東京、神奈川のスーパー内や路面店45店を展開、うち4店は24時間受け渡しサービスを実施します。ロイヤルネットワークは10都県にクリーニング店653店、工場70店を持ち、首都圏での店舗網強化を図ります。神奈川県には初出店となります。
ロイヤルネットワーク/南洋舎
「うさちゃんクリーニング」を展開するクリーニング大手のロイヤルネットワーク(山形県酒田市)は、同業の南洋舎(横浜市)を買収しました。首都圏での事業を拡充します。同社は1923年創業、売上高約9億円。「ホープクリーニング」の名称で、直営、フランチャイズ、取り次ぎを含め85店舗を展開していますが、後継者難などがあった模様です。これにより、ロイヤルネットワークは首都圏での事業を拡充し、岩手県を除く東北地方から静岡県まで12都県をカバーするネットワークができることになります。
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